国内

プライド高いストーカー 「アナタは下手」のひと言で逆上も

 ストーカーが増え続けている。昨年1年間に全国の警察が認知したストーカー被害は2万1089件で2000年の統計開始以来、過去最多となった。

 加害者の9割近くを男性が占め、20~40代を中心に幅広い世代がストーカー事件を起こしている。一方、被害者の9割を女性が占め、その多くは20~40代だ。

 ストーカーの被害相談などを行うNPO「ヒューマニティ」理事長で、『「ストーカー」は何を考えているか』(新潮新書)の著書がある小早川明子さんはストーカー被害を食い止めるため、加害者側のカウンセリングも行っている。小早川さんがカウンセリングした20代の男性ストーカーは、思春期に10人を超える女性に交際を申し込んだがすべて拒否され、その後ようやく彼女ができた。

 男性は初めての交際相手から馬鹿にされないよう、容姿や会話に気を使い、彼女の趣味であるスキーにも挑戦した。しかし、女性の一言が男性を激高させた。

「あなたのセックスはよくない。初めてだからかな」

 逆上した男性は発作的に女性を殴りつけた。その後も暴力がやまず、たまらず女性が男性の元から逃げ出すと執拗に後を追った。警察から警告を受けるとますます自暴自棄になり、会社を辞めてさらにつきまとった。

 お互いの家族を交えた話し合いでも「ぼくは絶対に悪くない。全部、彼女のせいだ」と言い張った。家族に導かれて小早川さんのカウンセリングを受け始めると、「彼女にセックスがダメと言われて、死ぬほどつらかった」と明かした。

 カウンセリングを受けても怒りと復讐心を制御できなかった男性はある夜、切羽詰まった声で小早川さんに電話してきた。

「どうしても我慢できなくて彼女の家の庭に入り、今、彼女にもらったスキー板を壊して玄関の前に置きました。警察に通報してください。自殺するよりいいでしょう」

 小早川さんが被害者家族に連絡し、駆けつけた警官に男性は逮捕された。まさに凶悪犯罪の一歩手前まで迫ったケースだった。

 この男性のように多くのストーカーには「プライドの高さ」が見られると法政大学文学部(犯罪心理学)教授の越智啓太さんが言う。

「ストーカーになる人の多くはプライドが高くて見栄っぱりです。そのプライドは自信のなさの裏返しであり、プライドと実際の実力の差をウソで補うことが多い。そんな男性に対して、交際相手が『新しい彼氏はあなたと違って東大卒よ』『あなたは何もできないバカな男ね』などと自尊心を傷つける言葉を投げかけることは危険極まりない。このタイプの人間はプライドを傷つけられると、『絶対に復讐してやる』と過剰な報復感情を抱く傾向にあるんです」

※女性セブン2014年7月31日・8月7日号

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
“もしトラ”リスクも…(写真/AFP=時事)
【緊迫する中東情勢】イラン・イスラエルの報復合戦、エスカレートすれば日本にも影響 “もしトラ”リスクが顕在化
週刊ポスト