国際情報

米軍慰安婦問題 韓国政府やメディアの見て見ぬふりこそ問題

 これまで韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が反日宣伝の最大の武器としてきた「慰安婦問題」について、韓国側の主張が根底から崩れる事態が起きている。

 6月末に韓国人女性122人が、在韓米軍基地の周りの「基地村」と呼ばれる地域でアメリカ軍兵士相手の売春を強いられたとして、韓国政府を相手に国家賠償訴訟を起こしたのだ。1953年の朝鮮戦争終結後の韓国国内で起きていた「米軍慰安婦」問題である。在韓国ジャーナリスト・藤原修平氏の解説。

「1962年6月、韓国政府は実質的に売春を許可する『特定地域』を全国104か所に設定しました。当時の責任者は現大統領の父である朴正熙(パク・チョンヒ)大統領。それら特定地区の多くが米軍基地の近くに設けられ、『基地村』と呼ばれました。米軍幹部と韓国政府の間で『性病検査を済ませた者に限り、慰安婦の行為を許可する』といった協議が行なわれていたとされます」

 軍に寄り添う国家管理売春である。この米軍慰安婦訴訟では、日本を非難していたロジックがそっくりそのまま韓国政府に向けられることになる。

 今のところ政府や主要メディアは黙殺の構えだが、一部からは追及の火の手が上がり始めた。

 韓国軍のベトナム戦争での蛮行の詳細を報じるなど、反権力の姿勢を貫く革新系メディア「ハンギョレ新聞」が7月に入り、1950年生まれの女性が16歳の時に基地村に連れて行かれ「米軍慰安婦」となった経緯を詳しく報じている。

 その女性は友人の借金を肩代わりさせられ、返済のために基地村に無理矢理送り込まれたという。逃げ出そうとして警察に駆け込んでも、売春宿のオーナーと通じていて、「どうして逃げるんだ。帰らないと監獄行きだぞ」と逆に基地村に戻ることを強いられたと証言している。性病に感染すれば「白い家」と呼ばれる施設の狭い5人部屋に収容されたといい、まさに「性奴隷」と呼ぶに相応しい実態だ。

 もちろんそうした証言者たちの言葉がどこまで事実かを精査する必要があるが、問題は韓国政府も主要メディアもこの問題を見て見ぬふりしていることだ。

 日本に対して元慰安婦の人権という“正義”を振りかざして罵倒を繰り返しながら、自らに都合の悪いことに頬被りする。結局、付け込む余地のある相手にかみついているだけではないか。

 韓国政府は「米軍慰安婦」についてこれまで一度たりとも謝罪も賠償もしていない。朴大統領はこれから嘘の代償を支払うことになる。

 日本人は韓国の執拗な反日運動に対し、辛抱強く彼らの改心を待ってきた。だが、残念ながら隣国は自らを追い詰めるところまで を積み重ねてしまったようである。

※週刊ポスト2014年8月8日号

関連記事

トピックス

驚異の粘り腰を見せている石破茂・首相(時事通信フォト)
石破茂・首相、支持率回復を奇貨に土壇場で驚異の粘り腰 「森山裕幹事長を代理に降格、後任に小泉進次郎氏抜擢」の秘策で反石破派を押さえ込みに
週刊ポスト
別居が報じられた長渕剛と志穂美悦子
《長渕剛が妻・志穂美悦子と別居報道》清水美砂、国生さゆり、冨永愛…親密報道された女性3人の“共通点”「長渕と離れた後、それぞれの分野で成功を収めている」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
2020年、阪神の新人入団発表会
阪神の快進撃支える「2020年の神ドラフト」のメンバーたち コロナ禍で情報が少ないなかでの指名戦略が奏功 矢野燿大監督のもとで獲得した選手が主力に固まる
NEWSポストセブン
ブログ上の内容がたびたび炎上する黒沢が真意を語った
「月に50万円は簡単」発言で大炎上の黒沢年雄(81)、批判意見に大反論「時代のせいにしてる人は、何をやってもダメ!」「若いうちはパワーがあるんだから」当時の「ヤバすぎる働き方」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
“トリプルボギー不倫”が報じられた栗永遼キャディーの妻・浅井咲希(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》女子プロ2人が被害妻から“敵前逃亡”、唯一出場した川崎春花が「逃げられなかったワケ」
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“1000人以上の男性と寝た”金髪美女インフルエンサー(26)が若い女性たちの憧れの的に…「私も同じことがしたい」チャレンジ企画の模倣に女性起業家が警鐘
NEWSポストセブン
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《眞子さんが見せた“ママの顔”》お出かけスリーショットで夫・小室圭さんが着用したTシャツに込められた「我が子への想い」
NEWSポストセブン