聖徳太子は日本が隋の属国にされかねない厳しい局面において、「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す」という隋との対等性を明記した国書を送りました。これは単に冒険主義から発した行為ではなく、隋から見て高句麗の背後にある日本国を敵にはできないという冷静な分析に基づくものでした。
そして国書の前段では、隋の煬帝に対して最大級の賛辞を贈っています。外交儀礼を守りながら日本国の主張を堂々と展開することは、国家としての強い自立心がなければ成し得ないことです。
日本が古来から有してきた価値観に気づくことができれば、その気づきは自ずと自信と誇りにつながっていきます。自身に対する信頼をしっかりと身につけることが出来れば、危機に直面しても、義のために堂々と相手に立ち向かうこともできるようになります。鎌倉時代の武士たちが元寇の折、日本国を守るために敢然と立ち向かったように。だから、私はこう声を大にして言いたいのです。
日本人よ、優しさとともに雄々しさを身につけよと。
※SAPIO2014年9月号