この「自動カット装置」のポイントは、すでに受給しはじめている65歳以上の人の年金も搾り取られていくことだ。
しかも「マイナス幅」もどんどん膨らんでいく。2004年にマクロ経済スライドが導入された時、カット率は「今後20年間は概ね年0.9%」とされた。それが今年の厚労省試算で発表された数字では、2030年代から「年1.5~1.9%」ものカットとなることがわかった。
「自動カット装置」により、各世代の受給額がどれくらい減らされていくかを現在価値に直して試算してみると、受給開始の65歳から85歳までの20年間で、高齢世代は15~20%前後、現役世代は20%以上も年金が減らされるケースがある。
デフレ下でも「自動カット装置」を発動させる案は前述の厚労省のペーパーにも検討課題として明記されている。早ければ来年の通常国会で成立する見込みだ。
※週刊ポスト2014年9月19・26日号