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堅調な日本株に急落懸念 「1万4000円割れも想定」と専門家

 堅調な推移が続いている日本株だが、この先はどう動くのか。さらなる円安進行も期待される中、「急落リスクに備えておくべき」と語るのは、カブ知恵代表取締役・藤井英敏氏だ。その真意はどこにあるのか。秋以降の日本株の投資戦略について、藤井氏が解説する。

 * * *
 この秋以降、日本株を左右するのは、やはり米国の金融政策だろう。世界中にカネ余り現象をもたらしてきた「QE3(量的金融緩和第3弾)」の縮小が進むなか、その終了に向けて日本株も堅調に推移するものと見られる。

 ただし、その後は注意が必要だ。米国が量的緩和をやめて、来年にも利上げに踏み切るという金融政策の正常化に向けた動きは、本来ならポジティブな材料である。しかし、マーケットは常に素直な反応を見せるものではなく、量的緩和の終了後、来年以降の利上げを織り込む形で混乱も予想される。

 振り返れば、日経平均株価は昨年末の高値1万6300円からウクライナ情勢の緊迫化などにより今年2月に一時、1万4000円割れとなったが、あの時と同じような展開を想定しておいた方が安全かもしれない。具体的には、QE3が終了すると見られる10月半ばくらいにかけて1万6000円台まで上昇したとしても、その後は年末にかけて1万4000円を割り込むような急落に見舞われる可能性もあるのだ。

 だからといって、いつまでも下がり続けるわけではない。中央銀行が国債を買うという異常事態が正常な状態に移る過程の混乱であり、それは米国経済が回復に向かっていることを意味する。年明け以降、米国市場が落ち着きを取り戻せば、再び上昇に転じる公算は高い。

 そのタイミングを見極めるのは難しいが、当面は非常に値動きが激しい相場になることが見込まれる。投資戦略も頭を悩ますところだろう。そのような乱高下相場では、買った株が下がる前に高値圏で売るという短期勝負に徹するのが理想といえる。

 大切なのは、いつまでも上がり続けるわけではないという心構えを持つこと。下ブレリスクに備えておくかどうかで、結果は大きく違ってくるものだ。そして株価急落のサインを見逃さないこと。そのひとつとして注目しておきたいのが、「VIX(ボラティリティ・インデックス)指数」だ。

 これは投資家心理を示す指数で、相場の先行きに警戒感が高まると数値が上がるため「恐怖指数」と呼ばれる。通常は10~20の間で推移することが多いが、これが20を超えてきたら要注意。まだまだ上がるはずという思い込みを捨てて、素早く手仕舞う。下落に備えてあくまで短期決戦を心がけるのが賢明だろう。

※マネーポスト2014年秋号

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