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電柱の地中化計画が本格始動もコストは地上設置の10倍の試算

「景観保護」や「防災対策」を目的として“日本中から電柱をなくす”計画が本格始動している。地中化して電柱をなくす手法はいくつかあるが、基本的には地下に溝を掘って地中に設置される「共同溝」に電線や電話線をまとめるという方法で進められている。地中化によるメリットはどこにあるのか。

「地上に出ている部分が少ないため風雪災害に強くなり、街の景観保全にもなります」(東京電力広報部)

 NPO法人「電線のない街づくり支援ネットワーク」事務局長の井上利一さんも、防災の意義を指摘する。

「阪神・淡路大震災では地中化されていない場合と比較すると、地中化されている場合の被災率は80分の1でした。電柱が地上にあると、災害時に地上に電柱が倒れてしまい緊急車両が通行できないなどという事態が起こる可能性があります」

 ただし、電柱の果たす役割は大きい。

「電柱には街灯や信号、地番表示をつけることができます。道案内が出ている看板を見たことがあると思いますが、看板の役割も果たしているのです。また、液状化や土砂災害などで被災したとき、地中にあると、壊れた箇所が判別しづらいため地上にある場合と比べて復旧に時間を要することもあります」(東京電力広報部)

 さらに地中化には費用の問題もある。工事の難易度によっても異なるが、地上に設置する場合と比べて約10倍の費用がかかると言われている。

 しかし、それでも欧米主要都市では無電柱化が当たり前となっている。

「ロンドンやパリなど欧米の主要都市での無電柱化率はほぼ100%です。ニューヨークも昔は電線だらけでしたが、電線が切れて感電するなどの事故が起こり地中化が進みました」(前出・井上さん)

 日本は1986年から政府主導で地中化に取り組んでいるが、国土交通省の調べによれば東京23区で7%、大阪市で5%(2012年末)と海外の主要都市に比べると無電柱化率は低い。

※女性セブン2014年9月25日号

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