韓国、仁川で開催中のアジア大会も開会式から数えて3回目の日曜日、28日にはサッカーで韓国が日本に勝ち、野球で韓国が優勝するなどした影響もあり4日の閉会式へ向けて地元も盛り上がりを見せている。選手村のお粗末さ、ガラガラの客席、業務そっちのけで有名人と記念撮影にばかり熱心なボランティアなど批判的な報道が日本では多いが、現実には現場での決断の速さや親切に日本人もずいぶん助けられていると感謝する声も多い。
「スマホばかりいじっているスタッフもいますが、熱心な人に助けられてもいます。日本に留学中の大学生がボランティアにいて、先の予定と締切時間を気にする日本のマスコミにあわせて早めにスケジュールを聞いてくれるので頼りにしています。最初はダメだと言われる要望も、理由を説明して待つと『大丈夫になりました』と変更されたりする。現場の裁量が大きいのでしょう。逆に、日本の大会で変更してもらえることは少ないですよ。
組織委員会の運営にはいろいろ問題がありますが、個々の場面では状況に合わせて機敏に動いてくれます。基本的にみなさん親切でやさしいので、快適に仕事ができています」(スポーツ新聞記者)
その場で細かい運営方法の変更を決断する柔軟な対応はいたるところで見られ、結果としてつつがなく大会が進行している。その最たる例が、当日券の販売だろう。
開催前から地元の韓国でも「チケットが買えない」という嘆きが多く聞こえていた。ところが、大会が始まってみると競技場の客席はガラガラで、なぜチケットが買えないのかと不満の声があがった。原因は、前売りの出足が悪いと気にした大会運営側が、事前に関係者へ大量にチケットを配布したため前売り分が事実上なくなってしまったためらしい。
だが現実には、ソウルから移動に1時間半はかかる遠い競技場が敬遠され、一部の人気競技を除き多くのチケットは受け取り手がなく宙に浮いていた。そのため「きょうのチケット、まだありますよ」と割り当てられた大量のチケットを束で持った関係者が試合会場で苦笑いする事態になっていた。また、使われずに終わったチケットも少なくなかったようだ。そのため、前売りチケットを買えないにもかかわらず空席が目立つ競技が続出したのだ。
「せっかく赴任中に開催だから家族で日本選手を応援に行こうとチケットを探したのですが、大会HPを見てもどうやって買っていいのかよくわからない。韓国人も苦労していました。試合の2時間前から当日券販売だと聞いたので競技場へ行ってみると『Sold Out(完売)』の張り紙が。でも、人だかりしているから変だなと思って売り場の近くへ行ったら売っていました(苦笑)。迷わず買って、そのまま日本選手を応援してきました。
確実にチケットを買えるかわかりませんでしたが、行ってよかったです。夕方には帰る予定でしたが、子どもたちが興奮しちゃって最後まで応援したがったので予定より遅い時間まで楽しんできました」(ソウル在住の日本人)