今、世界から注目を浴び再評価されている日本の「モノ作り」の価値。そこから見えてくる、日本の職人の特徴や学ぶべき厳しさ、謙虚さ、美点といったようなものが、とても残念なことに、「マッサン」から漂ってこないのです。
高倉健さんが亡くなって日本中が嘆いているのは、いわば、一人の俳優という「職人」を失った喪失感からではないでしょうか? 真面目に物事をコツコツと積み重ねて丹念に仕事をする人物が、失われていくことへの嘆き。高い課題に常に向かっているからこそ滲み出てくる謙虚さを、見られなくなることへの悲しさ。優れた「職人」が、また一人いなくなることへの危機感。
「マッサン」という国民的ドラマが、今こそ描くべきは、「モノ作り」「職人」たちが教えてくれる本当の意味と価値、そして現代における可能性ではないでしょうか。