国内

高須院長 衆院選に「自民と共産の一騎打ちなら面白かった」

衆院選を総括する高須院長

 高須クリニックの高須克弥院長が世の中のさまざまな話題に提言していくシリーズ企画「かっちゃんに訊け!!」。今回は、自民・公明の与党圧勝で終わった衆院選について、お話をうかがいました。

 * * *
──今回の衆院選ですが、安倍首相としては「アベノミクスをどう評価するか」という点を争点に設定していました。そして、実際に自民党が勝利した。結果的に「国民はアベノミクスを評価した」ということになると思うのですが、高須院長はどう思われますか?

高須:自民党の票田となったであろう大企業なんかにしてみれば、たしかにアベノミクスは評価できるものなのだと思う。輸出関連企業は円安で業績を上げているし、一応株価も上昇しているし、消費マインドも上がっているし…。特に富裕層にとっては、歓迎すべき政策だよ。

──選挙でも結果が出たとおり、アベノミクスを評価する有権者は多い、と。

高須:いや、だからといって、国民全体がアベノミクスを評価しているわけではないのは当然だよね。一般家庭にしてみれば、物価は上がるけど給料はなかなか上がらないし、家計が厳しいサラリーマン家庭も多いと思う。

 単純に有権者の人数だけで言えば、アベノミクス支持派と不支持派はそんなに差はないと思う。仮にアメリカの共和党と民主党みたいに、2大政党制になっていたら、自民の圧勝もなかっただろうしね。でも、今の日本の政局を見ると、野党が分散しすぎていて、どうにもならないんだよ。本当は自民党を支持していなくても、政権を任せたいと思う野党がいないから、仕方なく自民党に入れているっていう人もいるでしょ。そうなると投票率も下がるし、野党はどんどん不利になる。

 極端なことを言えば、自民党と共産党の一騎打ちになれば、もうちょっと面白い闘いになったんじゃないのかな? それくらいわかりやすい対立構造がないと、なかなか変わらないんだろうね。余談だけど、もしも「自民 vs 共産」の構造になったら、公明党は政策的に福祉優先だし、自民党より共産党についたほうがいいと思うよ(笑い)。

──結局のところ、政策での論戦は不充分だったし、そもそも野党側の明確な主張も見えづらかった。実際には、アベノミクスの是非は争点になっていなかったという感じなんですかね…。

高須:そうそう。消費増税の先延ばしだって、有権者は誰も反対できないし、当然民主党がそこに反対するわけもない。基本的に野党は与党の反対の政策を出してくるわけだけど、今回はそれもできない状況だった。

 ひとつ民主党が失敗したのは、解散になるもっと前から消費増税を反対しておくべきだったということだろうね。そこをしっかり主張していれば、安倍さんも簡単に「消費増税を先延ばしする」って判断できなかったかもしれない。そうなれば仮に「アベノミクス解散」になったとき、野党側は「消費増税先延ばし」を打ち出すことができたんだよ。

 ただ、いちばんの問題は、そもそも消費増税を国会で成立させたのは民主党政権だった、ということ。これは、民主党には、あまりにも都合が悪すぎる。自分たちで増税すると言って、後から先延ばしにするべきだ、っていうのは、あまりにも筋が通らない話。とにかく、民主党にとっては分が悪すぎた選挙だね。

──なんというか、民主党以外もそうですが、野党はまったく闘わせてもらえなかったという印象ですね。

高須:解散のタイミングも含めて、今回の総選挙は自民党がうまかった。安倍さんには、本当に優秀なブレーンがついたんじゃないかな。もしくは、親の世代からいた、昔ながらの側近がみんないなくなったのかも。

 逆に昔ながらの側近のせいで下手を打ったのが、小渕優子さん。古い家老たちをもっと早くクビにしておけば、大臣を辞めることもなかったんだろうけどねえ。まあでも、結局選挙でまた勝ったわけだから、問題なしってことなのかな。

──「大義なき解散総選挙」と言われていた今回の衆院選ですが、結局のところどうだったんでしょうか。大義はあったんですか?

高須:うーん、小泉さんのときの「郵政解散」みたいな、ピンポイントの争点がなかったから、難しいところだけどね。でも、安倍さんにしてみれば、「グズグズ言うな。選挙で勝ったんだから、オレは正しい」っていうことなわけで、“国民の信任を得る”ということ自体が大義だったんだよ。小渕さんにしてもそう。選挙で選ばれたってことは、禊が済んだってこと。自民党にしてみれば、充分な「大義ある解散総選挙」だよね。

 * * *
 とにかく安倍政権の戦略勝ちだったという雰囲気の今回の衆院選。結果的に国民はアベノミクスを信任したということになるわけだが、高須院長の予測は「アベノミクスで庶民が恩恵を受けるのはまだまだ先。ヘタすれば庶民の給料は上がらないかも」と少々悲観的だ。せっかくアベノミクスの信任を得たのだから、安倍政権にはしっかり日本の経済を立て直していただきたいところだが…。

【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。

 昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『バカにつける薬 ドクター高須の抱腹絶倒・健康術』(新潮OH!文庫)、『私、美人化計画』(祥伝社)、『シミ・しわ・たるみを自分で直す本』(KKベストセラーズ)、『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)など。最新刊は『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)。

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン