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抗ヒスタミン薬が効かないかゆみ 内臓異常を調べるのも大切

 かゆみを引き起こす主な原因は、肥満細胞から分泌されるヒスタミンという物質だ。ヒスタミンが神経のH1受容体に結合すると、かゆみが起こる。代表的なのがじんましんで、赤く腫れ、かゆくなるが、抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)を飲めば治まる。

 抗ヒスタミン薬では治らないかゆみは、難治性かゆみと呼ばれ、皮膚の乾燥や内服している薬、内臓の異常などが原因で生じているかゆみだ。

 順天堂大学大学院環境医学研究所長で順天堂大学附属浦安病院皮膚科の高森建二名誉教授に話を聞いた。

「冬場になると、中高年に増えるのが皮膚の乾燥によるかゆみです。潤いのある皮膚は細胞同士が隙間なく並び、細胞と細胞の間をセラミドという脂質が埋めており、さらに皮膚の表面は皮脂膜に覆われていて、皮膚内の水分が蒸発しない構造になっています。

 ところが、加齢や空気の乾燥で、皮脂膜やセラミドなどの角質間細胞物質が減少すると、細胞間に隙間ができ、水分が蒸発し、乾燥肌となります。乾燥肌では、神経が皮膚の表面近くまで伸びてきて、外からの刺激(ハウスダストやダニ、石鹸など)により、神経が直接刺激されて、かゆみが生じます。これが老人性乾皮症のかゆみです。アトピー性皮膚炎も乾燥によって、かゆみを生じます」

 乾燥肌によるかゆみは洗いすぎに気をつけ、保湿剤をしっかり塗ることが肝心だ。

 注意が必要なのが内臓異常によるかゆみだ。たとえば、腎不全や透析、肝炎や肝硬変でもかゆみが起こる。特に、原発性胆汁性肝硬変では夜も眠れないほど強いかゆみが起こる。これらの病気もまた、乾燥肌になる。

 また、胃がんや大腸がんなど内臓の悪性腫瘍もかゆみを起こし、体のあちこちがかゆくなる。原因はわかっていないが、がん細胞がかゆみを起こす物質を出しているのではないかと考えられている。他に、甲状腺機能異常や鉄欠乏性貧血、HIV感染症なども難治性のかゆみを起こす。抗ヒスタミン薬が効かない原因不明のかゆみは、内臓異常を知らせるサインかもしれないので、病院を受診し、検査を受けることも大切だ。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2014年12 月26日号

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