国際情報

インドはポスト中国たり得るか 「残念ながらNO」と大前氏

 日本は経済にせよ、安全保障にせよ、「ポスト中国」を見つけることが急務である。その筆頭株がインドとされているが、同国の将来について大前研一氏は意外な言葉を口にした。

 * * *
「眠れる巨象」はいつ目覚めるのか。中国経済が翳りを見せつつある今、世界の投資家たちの注目はインドに集まっている。

 インドは、現在の人口が12億5000万人超で、2028年までに中国を抜いて世界一の人口大国になると言われている。また昨年就任したナレンドラ・モディ首相は改革派として知られ、今後の経済成長が大いに期待されている。

 では、眠れる巨象は今、まさに起き上がらんとしているのか。
 
 1990年代にインドを何度も訪れ、インド企業3社と合弁でソフトウェア開発会社を設立して経営した経験がある私の結論は、残念ながら「NO」である。
 
「世界最大の民主主義国家」のインドでは、18歳以上の全国民に選挙権が付与されている。したがって、有権者の大多数を占める年間所得3000ドル未満のBOP(base of the pyramid)と呼ばれる貧困層の支持を得られるかどうかが、政治家たちにとって最大の関心事となる。

 アメリカなどの先進国でさえ、選挙権は納税者の男性、次に女性、そして黒人などというように長い時間をかけながら段階を踏んで与えていった。 

 日本の場合も最初は「一定以上の納税額のある25歳以上の男子」、その次が「25歳以上の男子」で、現在の「20歳以上の男女」になったのは戦後である。ところが、インドは最初から18歳以上の男女に選挙権を与えてしまった。このため中国のように7億人の貧困層を切り捨てることができない。

 貧しい人たちが政治家の自宅に陳情の行列を作るのは日常風景で、政治家たちも選挙に備えて彼らの要望に真摯に耳を傾けるポーズをとらなければならない。

関連記事

トピックス

和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン