【原発について当事者はどう思う?】
脱原発派と原発容認派について、ネットで大いに議論となったのが、坂本龍一氏が2012年7月に行われた「さようなら原発10万人集会」で発言した「たかが電気」発言だ。この時は、「じゃあ、エレキギターを使うな」といった意見も出るなど、容認派にとっては「たかが」という発言は怒りを誘発した。
また、昨年9月には代々木公園で大規模な原発反対集会が予定されていたが、デング熱騒動で場所を移さざるを得なくなった。この時は脱原発派からは「政府が集会をさせないために代々木公園を発生源にした」という意見が出るほど、原発再稼働に対する懸念が深いことを伺わせた。こうした集会には福島第一原発事故で自宅を離れざるを得なかった人々も数多く参加している。
沖縄の基地におけるAさんと同様に、原発について、当事者はどう考えているのか。再値上げが申請された関西にある50代の中小企業主・Bさんは複雑な思いを抱いている。
「電力料金の再値上げについて、東京の役人やお偉い先生が申請内容を審議しているって聞いたんやけど、アホちゃいますか? 10%を9%に値上げ幅を圧縮させるなんてチマチマしたことやっててどうすんですか。家庭向けはその程度で済むかもしれへんけど、関西の我々事業主はもっと大きな負担を強いられることになるんや。このままでは工場をたたむか、少ない従業員をさらにリストラでもしないとやっていけまへん。
10%をゼロ、さらに言えば前の安い水準の料金にするために何が必要なのかをもっと真剣に議論せえと言いたい。安全性が確認されたら、原発動かして、安いエネルギーを我々に供給する、それで雇用も確保出来るし、事業拡大できるチャンスも広がる。関西は今、大変な危機に直面しているという現実を、理解してほしい」
このような訴えとはまた違う視点での指摘もある。現在、原発ゼロ稼働のためにフル稼働している火力発電の主なエネルギーはLNGだ。ジャーナリストの夏目幸明氏の著書『大停電を回避せよ』では、こんな記述がある。
「『日本の電力会社は、震災前に比べ1年当たり約3兆円も多く燃料代を支払っています。LNGや原油が急騰していたうえに、原子力発電所が動かせなくなり、その分の燃料費が積み増しされているからです。』(中略)トヨタ自動車の黒字が約1兆円。日本はこの世界的な企業3社分の利益を国外に垂れ流しているのだ」