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自撮り棒が観光地でトラブルのもとに 動物園の柵に入れる人も

 金属棒の先端にスマートフォンを取り付け自分たちの姿をパシャリ──最近、観光地などでよく見かける光景だ。その器具は「自撮り棒」「セルフィースティック」「セルカ棒(セルフカメラ棒の略)」などと呼ばれ大流行している。が、同時にあちこちでトラブルを巻き起こしている。

 京都は春の観光シーズンを迎え、例年のように卒業旅行の学生やシニア観光客で連日ごった返している。そこに異変が起きているという。ベテランバスガイドが苦い顔で語る。

「この時期、有名な神社仏閣だと休日はもちろん、平日でもかなり混雑します。そんな中で『自撮り棒』が何本も人混みの中から伸びているのは、今年初めて見る光景です。撮っている本人は写真に夢中ですから、周囲が目に入らず、群衆の中で振り回す。とても危険ですね」

 記者が清水寺を訪れると、狭い舞台の上に観光客がごった返している中、ざっと20本以上の自撮り棒が見えた。少しでも美しい背景の前で写ろうと、舞台の端ギリギリで自撮り棒が右に左に振り回される。目の前で、1本の棒が別の観光客の頭を直撃した。

 同様の光景は全国各地で見られる。渋谷駅前のスクランブル交差点では、自撮り棒を持った20代と思しきカップルが動画モードにしたスマホを高く掲げ、自らを俯瞰で撮影。カメラ目線で上を見ながらスクランブル交差点を渡り出すと、対向してきた人と危うくぶつかりそうに。それに気づかずに歩き続けると、今度は歩きスマホの人と正面衝突。

 自撮り棒が、今度はトラブルの原因になっているわけだ。20代男性が憤る。

「友達と居酒屋で飲んでいたら、隣のテーブルに座っていた6人組の若い女性客たちが自撮り棒で記念撮影を始めました。すると女性グループから『写真に写りこんでジャマなんですけど』と文句をいわれて……。仕方なく身をかがめて写らないようにしてあげましたけど、勝手な言い分ですよね」

 自分を撮るばかりが自撮り棒ではない。テーマパークではこんなトラブルが起きている。20代の常連客女性が語る。

「人気キャラクターショーの会場で、ステージが見えないからといって自撮り棒を伸ばして高い位置から動画を撮る人がここ数か月ですごく増えました。先日は後ろから見ている客が“すみません、見えにくいんですけど”といったところ、自撮り棒を使っている人が“禁止されているわけじゃないだろ!”と応じて口論になっていました」

 上野動物園教育普及係の担当者は、こんな客がいたと明かす。

「動物の柵の内側に自撮り棒を差し込んで撮影するケースが複数確認されています。当園では自撮り棒の使用は禁止していませんが、危険なケースは口頭で注意しています」

※週刊ポスト2015年4月3日号

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