週刊ポストは5月1日号と5月29日号で、東京商工リサーチが調査した日本の経営者269万人のデータをもとに日本の社長の「学歴」「出身地」などの傾向を分析した。今回はこのビッグデータを「名前」という観点から読み解く。社長になる人物の名前に法則は存在するのだろうか。まずはランキングをご覧いただきたい。
【社長姓】
1位 佐藤 3万4038人
2位 鈴木 3万2594人
3位 田中 2万5909人
4位 山本 2万773人
5位 中村 2万559人
6位 伊藤 2万428人
7位 小林 1万9677人
8位 加藤 1万6970人
9位 吉田 1万6343人
10位 高橋 1万6219人
【社長名前】
1位 誠 1万1267人
2位 博 9176人
3位 茂 9146人
4位 隆 8378人
5位 修 8055人
6位 豊 7818人
7位 進 7228人
8位 勝 6824人
9位 清 6801人
10位 徹 6685人
【※注:データは東京商工リサーチ提供。同社の2014年12月時点の企業データベース約269万社の代表者データから、社長の姓名を抽出し集計した。姓、名ともに同じ読み方でも、漢字が違う場合はランキングの順位が異なる】
日本で最も多い社長の姓は「佐藤」で、名は「誠」。社長で最も多い姓名は2つを組み合わせた「佐藤誠」で、全国に174人存在する。姓氏研究家として知られ、『名字でわかる日本人の履歴書』(講談社刊)など多数の著書がある森岡浩氏はこの結果を「意外だった」と評する。
「『佐藤』は日本で最も多い名字だが、名前で『誠』が1位になったのは驚きです。私の調査では、佐藤姓に多い男性の名前は上位から『清』、『正』、『進』の順で、7位にようやく『誠』です」
「誠」は1957~1978年までの22年間のうち18年で命名ランキング1位に輝いており、「経営トップ世代」ともいえる40~60代に多い名前である。しかし、世代別ランクを見ると30代社長で2位、母数が少ないため今回はランクを掲載しなかったが20代社長でも9位となっている。名前が多様化した若い世代でも「社長になりやすい名前」であることがわかる。
ランキングを概観して興味深いのは、「トップ10がすべて1文字の名前」であることだ。 全体ランクに入った2文字名は「健一」(12位)と「哲也」(19位)のみ。他には甲子園で早稲田実業の荒木大輔が活躍し、「大ちゃんフィーバー」が起きた1980年代初めに人気の名前となった「大輔」が30代社長で目立つ程度だ。
また、3文字名は1980年前後に命名ランキング上位だった「健太郎」が30代社長でランクインするのみだった。
※週刊ポスト2015年6月5日号