国際情報

戦争求める中国軍 ミャンマーへの宣戦布告を建議したことも

 今や粛清の嵐は、中国人民解放軍にまで吹き荒れるようになった。怨嗟と不満が渦巻く軍をこのまま放置していれば、予期せぬ叛乱が勃発する可能性すら指摘され始めている。ジャーナリストの右田早希氏がレポートする。

 * * *
 習近平主席は現在、「軍の汚職追放キャンペーン」を展開中である。要は汚職追放にかこつけて、230万人民解放軍の掌握を図るべく、権力闘争を仕掛けているのだ。

 その過程で、江沢民元主席が抜擢し、江沢民・胡錦濤時代を通じて人民解放軍に君臨した徐才厚・郭伯雄の両元中央軍事委員会副主席を粛清した。徐才厚上将は昨年3月に拘束され、今年3月に死去。郭伯雄上将は、息子の郭正鋼浙江省軍区副政治委員ともども、今年3月に拘束された。

「徐才厚と郭伯雄の両巨頭を粛清したことで、習近平は軍全体を敵に回してしまった」海外メディアはそのような憶測記事を飛ばしているが、こちら北京で人民解放軍関係者に話を聞くと、事実とはまったく異なる。

 ある海軍中堅幹部は、次のように述べた。

「徐才厚と郭伯雄が支配した江沢民・胡錦濤時代の解放軍は、まるでシロアリに蝕まれた倒壊寸前の家のようなものだった。出世のための賄賂が全軍に横行し、軍人の仕事はビジネス&宴会と化していたからだ。

 それを習近平主席は、『軍人の本分は戦争して勝つことだ』と檄を飛ばし、毛沢東時代の人民解放軍に戻してくれたのだ。そのため今は賄賂漬けになっていた幹部たちを除けば、軍の士気は高まり、戦争への準備は整っている」

 この海軍中堅幹部は、一つのエピソードを明かした。

「軍内部で2012年以降、毎年夏に、『いかにして日本軍(自衛隊)に勝つか』というテーマで、多方面から中日両軍の比較検討を行うセミナーを開いている。昨年の結論は、『わが軍がいくら空母を建造しても、内部の腐敗を一掃しなければ日本軍には勝てない』というものだった。だが今年は違う結論になるだろう」

 この中堅幹部に南シナ海の埋め立て問題について聞くと、次のように答えた。

関連キーワード

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン