折しも今、裁判が提起されたサンフランシスコの市議会では、慰安婦像か慰安婦の碑の設置を支持する決議案が取り上げられ、議論が進んでいる。

 この決議案は「慰安婦は日本軍に拉致され、性奴隷の扱いを受けることを強制された20万人のアジアの女性・少女」と説明し、設置を支持するもので、市議11人中、8人による共同提案である。アメリカでは今も韓国系団体によるロビー活動が“効果的”に繰り広げられていることの証左だろう。

 両国とも、戦後70年の節目にあたって、「作られた歴史」を振りかざして国際世論に“日本の残虐性”を印象付けようと躍起になっているのだ。最たるものが、中国・盧溝橋にある抗日戦争記念館で始まった「抗日戦争戦勝70周年記念展」である。

 中国は、捏造、誇張された資料などを展示したこの“反日展”に、7月中旬、500人あまりの各国の大使・領事、外国メディア、国際組織などの中国駐在員などを招待した。ロシアの駐中国大使であるアンドレイ・デニソフ氏は、「多くの史実や資料が展示されていて、よく理解できた」と感想を述べている。

 ここで日本が反論しなければ、国際社会では中国や韓国が訴える嘘が、“事実”と見なされてしまいかねない。

 他国を攻撃するのには長けていても、真正面から反論されると意外に弱いのが中国と韓国だ。70年たっても終わらぬ「戦後」に区切りをつけ、未来に向け歩み出すためにも、日本は歴史問題について、中韓と国際社会に繰り返し繰り返し真実を伝え続けていくしかない。

※SAPIO2015年9月号

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