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無関心が問題、社会全体で子供を見守るべき 寝屋川事件の教訓

 大阪府寝屋川市で発生した2人の中学生殺害事件──。中学1年生の平田奈津美さん(享年13)と星野凌斗くん(享年12)の遺体が見つかり、契約社員の山田浩二容疑者(45才)が逮捕された。

 山田容疑者と2人は8月13日明け方5時の京阪寝屋川市駅周辺で接触したとされる。そして、防犯カメラには、事件に巻き込まれる直前の2人の様子が映っていた。深夜の商店街を行ったり来たりしている奈津美さんと凌斗くん──。

 子供の外泊や夜間外出は現代では決して他人ごとではない。事件を知って、「ウチも…」と感じた親は少なくないのではないか。国立鳴門教育大学の阪根健二教授(学校教育学)はライフスタイルの変化が大きな要因だと指摘する。

「24時間営業のコンビニやファミレスの登場で子供のライフスタイルも変わり、子供が夜中に集う場所ができた。子供が夜中に外出しても社会的な違和感がなくなりつつある」

 携帯電話やLINEの普及も環境を大きく変えた。

「昔は一家に一台の固定電話しかなく、子供同士が連絡するには相手の自宅に電話をする必要があった。今は携帯やLINEで夜中でも手軽に連絡が取れるため、子供同士で集まれ、親が子供の動向を把握しきれない」(阪根教授)

 今回の事件でも奈津美さんは深夜3時過ぎまで友達とLINEをしていたが、今時の中学生としては決してめずらしくない行為だ。今年2月に起きた神奈川・川崎の中1殺害事件でも、少年少女はLINEを駆使し、大人の知らないところで複雑な関係を築いていた。

 女性の社会進出が進んだことやシングルマザーが増加したことも一因だ。40代のシングルマザーが証言する。

「働きながら中学生の息子と小学校低学年の娘を育てていますが、夜9時を過ぎるなど帰りが遅くなる時にお金を渡して、“妹を連れてご飯を食べて先に寝てなさい”と言うこともあります。子供には悪いけど、働かないと食べられないので…」

 塾通いなどで一般家庭でも子供の深夜外出のハードルが年々、低くなっている。

「子供は中学生ですが、高校受験のために夜10時まで塾に通っています。普段は送り迎えしていますが、1人で帰らせる時もあります。本人が集中できるというので、深夜近くまでファミレスで勉強することも…。夜間に子供が外出することの抵抗感は少なくなっている」(40代主婦)

 最大の問題は「大人の無関心」だと阪根教授は強調する。

「コンビニ、携帯電話など、さまざまな要因が重なり、親が子供の深夜の外出に関知しづらくなり、子供が深夜徘徊していても、周囲の大人が注意しなくなった。今回の事件でわかるように、大人の無関心が最大の問題です。親だけでなく、社会全体で子供を見守る必要があります」

 悲劇を繰り返さないためにも、今回の事件から学ぶことは多い。

※女性セブン2015年9月10日号

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