「役柄はホストにだまされて、300万円の借金を抱えてしまったキャバ嬢でした。シリアスな演技、透明感あふれる表情は見る人をひきつけました。実はこの映画、当初愛知県だけの上映で終わる予定だったんです。ところが映画の評判がよくて全国上映に切り替わった。SKE48の松井玲奈と知らず映画を観て、彼女の演技がすごくよかったと言っている人が多かったそうです」(前出・アイドルライター)

 卒業時、SKE48の劇場最終公演後の記者会見でラブシーンへの挑戦について問われた際に「必要であればということですよね。自分自身に覚悟はあります」と強い決意を語った松井。ラブシーンに限らず、体当たりの演技を見せてくれそうだが、あとは、彼女に合った脚本、そして、「元SKE48の松井玲奈」というイメージをいかに払拭するかだろう。

「前田敦子の例が、松井にとってひとつのモデルとなるのではないでしょうか。前田も最初は、何に出ても『元AKB48の』というイメージがついてまわりました。しかし、最初に出た映画がすごくよかった。芥川賞作品が原作の映画『苦役列車』では、アイドルのイメージとは真逆の素朴で口数の少ない書店員の役だった。びしょ濡れになりながら迫真の演技を見せるシーンもあった。

 原作にはないこの役は、“当たり役”という声が出るほど、素の前田敦子に見事にハマっていたんです。そこにアイドル前田敦子のイメージはなかった。ほかにも、映画『もらとりあむタマ子』で“逆ギレが得意なぐうたら女子”という役で、新たな一面を見せたり、AKB48のファン以外も見るような作品に積極的に出ていった。その結果、“女優・前田敦子”というイメージを強くすることができたと言えます。

 松井はどんな作品に出ても、最初は『元SKE48の』と言われるでしょう。それを払拭するような作品を主演作品にこだわらずに出ていくことが必要でしょう。舞台に出ながらじっくり経験を積んでいってもいいでしょうし、映画なら前田のようなに、メジャー系に限らず、これまでの松井のイメージとは違った面を出せる作品をしっかり選んで出ていくことが、成功までのひとつのポイントになるでしょう」(映画ライター)

 彼女はSKE48の活動が始まった頃、メンバーが並んだ際、3列目の端からスタートした。さほど注目されない存在だった。そして約6年半をかけてセンターまで上りつめた。これからは、ひとりの女優として芸能界のセンターを獲得できるのか、注目だ。

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