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毒蝮三太夫 ラジオで丁寧な言葉遣いから毒舌に変化した転機

放送47年目に突入。この日は銭湯から中継する毒蝮三太夫

「随分、よじれちゃった顔してるね。年はいくつだ?」
「92歳です」
「図々しいババァだ!」

 部分的に切り取れば乱暴でしかない言葉でも、毒蝮三太夫(79)が口にすると老人の頬が自然と緩む。

 10月で放送47年目に突入した『ミュージックプレゼント』(TBSラジオ)は月曜から金曜の10時半から30分間、個人商店や銭湯などから生中継し、毒蝮と集まった聴衆のやり取りが人気だ。

「口が悪いといわれるけど、俺の育った東京の下町では当たり前なんだよ」(毒蝮)

 初対面でも「刑務所から出てきたみたいな顔してるな」「新潟生まれ? この頭のつるっぱげは新潟っぽいな。日本海でもまれないと」と斬る毒舌が売りで、番組タイトルに反してリクエスト曲は2、3小節かかる程度である。

 1969年の番組開始当初は、「おばあちゃん」と呼びかけ丁寧な言葉遣いだったが、4年目に転機が訪れる。母親が死去した直後の放送で、血気盛んな老婆に遭遇し、こう叫んだ。

「うるせえ! 黙ってろ! ウチのお袋はくたばったのに、このババァは憎らしいほど元気だよ!」

 場は静まり返り、放送終了後は「毒蝮をやめさせろ」と抗議の電話が山のように届いた。

「俺だって気取って喋ることもできなくはない。でも、人より上手いわけじゃない。だからTBSに『普通の番組にするなら、俺以外の人を使ったほうがいい』といったよ」(同前)

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