──中国が供給過剰状態となると、中国に資源を輸出していた資源国はたまったものではない。
三橋:現に、豪州やブラジルといった鉄鉱石を輸出してきた国々は深刻な状況に追い込まれている。ブラジルなど政治的要因も重なって、国債の格付けは下がる一方だ。石油輸出国であるロシアや中東諸国も大きな打撃を受けている。
──影響を受けるのは資源国だけではない。
三橋:最悪なのは韓国だ。韓国のインフレ率は約50年ぶりの低水準0.7%と1999年のアジア通貨危機の時よりも悪い。内需が低迷し、インフレ率が上がらない状況で、外需まで失速する。まさに内憂外患の状況だ。しかも、韓国の場合、「製品輸出国」といて中国に依存してきた。その中国にしても同じような仕組みで発展してきた。つまり、補完関係ではなくライバル関係なのだ。
中国企業は急速に韓国企業にキャッチアップしてきている。すでにサムスンに代表されるスマホなど6分野ですでに中国企業に追い抜かれてしまっている。このままだと韓国は深刻なデフレ不況に突入するのは確実だ。通貨危機の再来の可能性もゼロではない。
──日本はどうなるのか。
三橋:もちろん、中国経済崩壊によって、まったくダメージがないわけではない。中国に多額の投資をしてきた企業は頭を抱えているし、爆買いも終われば旅行産業や小売業界も打撃は受けるだろう。しかし、日本の対中輸出対GDP比率は2.5%に過ぎない。仮に中国への輸出がゼロになったとしても、日本のGDPは2.5%マイナスになるに過ぎない。
しかも、中国の日本からの輸入は「資本財」が中心だ。日本から資本財を輸入しない場合、中国は自らも生産が不可能になってしまう。そんなことは、中国共産党が崩壊するなど革命的かつ歴史的大事件が起きない限り、絶対にあり得ない。