当時、判決を報じた現地メディアの記事によれば、ソウル中央地裁は〈息子が暴行されたことに対する父親としての心情が先立つあまり事件が起き、組織暴力団が一部動員されてはいるが、(本人が)直接暴力を行使してはいなかったこと、計画的な犯行ではなかったことが執行猶予につながったと説明した〉(聯合ニュース、2007年9月11日付)という。
まるで「息子思いのいい父親だから情状酌量」というような説明だが、暴力団まで使って子供のケンカに介入した行為に釣り合う判決とは考えにくい。
韓国事情に詳しいノンフィクションライター・高月靖氏は、韓国の財閥トップは仮に有罪判決を受けた場合も後から“無罪放免”となることが多いと指摘する。
「脱税や横領などで有罪が確定した財閥トップが、政治判断でのちに特別恩赦などを受けることが常態化しています。
2008年6月に、現代自動車の鄭夢九(チョン・モング)・会長が700億ウォンの横領と1500億ウォンの背任容疑で有罪判決を受けましたが、量刑は懲役3年、執行猶予5年と軽かった上に、2か月後には大統領による日本の植民地支配から解放された“63周年”に伴う特別恩赦が出ています」
※週刊ポスト2015年12月18日号