芸能

白装束で「余生」を過ごす小椋佳 「死に向き合う」生き方

「余生あるいは一周忌コンサート」で白装束姿を見せた小椋佳

 昨年1月に満70歳の古希を迎えた小椋佳(71)は、人生に区切りをつける意味で9月に『生前葬コンサート』を開いた。文字通り、自らの葬式を自らステージで行なったのだ。同時に、ラストアルバムを制作し、遺言としてエッセイも出版、本や衣服、創作ノートなどもほとんどを処分して、自宅では死に装束の白い作務衣に雪駄で暮らしてきた。

「いつ死んでもいいと覚悟を決めて準備をしてきました。ところが、いまだに生きながらえている。余生という新しい人生が始まっていたのですね」

 ならばと今年8月から11月にかけて、『余生あるいは一周忌コンサート』ツアーを全国17か所(18公演)で展開。余生などとは思えないエネルギーだ。

「とんでもありません。体がいうことをきかなくてヨロヨロしています。年間50曲、トータル2000曲以上作ってきて、若い頃は東京~大阪間の新幹線の移動で新曲が1曲できたのに、今は10日もかかる。人間として老衰したようなものです」

 小椋の音楽活動は東大法学部在学中に遡る。故・寺山修司氏主宰の劇団「天井桟敷」の自主アルバムに歌で参加。日本勧業銀行(現みずほ銀行)入行4年目にはアルバム『青春─砂漠の少年』でデビュー。それは社命でアメリカに留学中で、結婚もして長男も生まれていた頃だった。

「レコード会社の販売会議で『そんな男の歌が売れるはずがない』となって、一旦は発売がお蔵入りになりました。それでもデビューできたのですから僕は運がよかった」

 3作目のアルバム『彷徨』が100万枚を超える大ヒットとなり、一躍音楽シーンの表舞台に躍り出た。『シクラメンのかほり』『愛燦燦』は昭和歌謡史に残る名曲となった。その小椋に予期せぬ不幸が襲う。2001年、57歳の時に胃がんで胃の4分の3を切除。医師には「このままでは劇症肝炎になります」といわれた。だが、それでも死に対する考え方は変わらなかった。

「人間というのは、結局死に向かって生きているんです。だからいつ死んでも不思議じゃない。今はスリーS──シンプル、スロー、ステディ──単純な毎日をゆっくり過ごしながら、だけど物事はひとつひとつ丁寧に当たっていく。そう決めて生きることにしています」

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
高橋一生と飯豊まりえ
《17歳差ゴールイン》高橋一生、飯豊まりえが結婚 「結婚願望ない」説を乗り越えた“特別な関係”
NEWSポストセブン