●その3 使用人と貴族の二階建て
伯爵家の中で展開する愛憎劇。と同時に、同じ建物の中で使用人たちの世界も描かれる。このドラマの何より新鮮な点は、貴族の暮らしと使用人の仕事ぶり、全く異質な2つの領域が、同時進行で描き出されていく「二階建構造」にある。
というように『ダウントン・アビー』は「異文化を見たい」という欲望をとことん刺激し満たしてくれるドラマ。
自分とは違う「風変わりな」暮らしぶりを、微に入り細をうがって見ること。それは最高の娯楽。だからこそ、人は世界中を旅したり、テレビに紀行番組が溢れて返っているのだろうから。
「筋立てを追う」だけでなく、「見る欲望」「知る欲望」「感じる欲望」を満たしてくれる厚みのある大人のドラマが、日本からもっともっと生まれてくることを今年は期待したい。