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中国社会が震撼 「南京事件祝う書き込み」拡散して取締りに

 ネット普及の影響なのか、中国の「反日」も変化している様子だ。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 昨年は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産に中国が申請した「南京大虐殺文書」が登録されるなど、南京事件が大きな注目を浴びた一年でもあった。

 12月13日には一昨年に地方レベルから国家レベルに引き上げられた追悼記念式典が大々的に行われた。

 だが、だからといって南京事件に絡んで反日ムードが広がっているかといえば、実際はそうでもないようだ。

 13日の追悼式典には最高指導部7人の誰も出席せず、演説に立った李建国全国人民代表大会(全人代)常務委員会副委員長が「いかなる人も国家も侵略戦争を美化することは許さない」と語ったものの、日中関係については、「歴史をかがみとし、未来に向かう精神で友好を進めるべきだ」と未来志向をアピールしたのである。

 旧日本軍の非道を象徴し、中国が日本を歴史認識問題で攻撃する際に必ず持ち出される南京事件だが、年を追うごとにその反応も変わってきていることを感じさせた。

 そんな折もおり、中国社会を震撼させる驚くべき書き込みがネット上に出現し、話題をさらった。

 書き込みのタイトルは〈蘇北狗集体屠殺紀念〉である。

 蘇北が意味しているのは南京市がある江蘇省で、訳せば、「南京の犬を大量に殺した記念日」ということになるのだろう。そして書き込みには、「日本鬼子が南京の犬を大量虐殺した記念日を熱烈に祝う。われわれは12月13日を忘れてはならない。30万では少なすぎる。彼ら(日本鬼子)の間違いは殺し尽くさなかったことだ」とある。

 何とも恐ろしい内容だが、これもネット社会の所産なのだろうか。

 書き込みが確認されたのは大手検索サイト「百度」のなかの「江蘇瞬天」という掲示板である。

 12月15日、中新ネットは江蘇省公安庁のネット警察である網絡安全保衛総隊は、南京での犠牲者を侮辱し公序良俗に対する挑戦と受け止め、書き込みを行った本人及び、書き込みを拡散させたネチズンの取締りに乗り出したことをネット上で通知。情報提供を広く呼びかけた。

 それにしてもこんな書き込みに同調する中国人が出てくるなど、まさに隔世の感といわざるを得ない。

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