ライフ

医療先進国の中で日本のがん患者の死亡数が増えている理由

 日本人の死因のトップはがんで、2014年に約37万人が亡くなっている(厚生労働省調べ)。男性の場合、肺がんがもっとも多く、女性の場合は大腸がんがトップだ。

 がん治療のキモはとにもかくにも「早期発見」だとされている。がんの進行度は0(早期)から4(末期)までのステージで分けられるが、たとえば、肺がんの場合でステージ1の5年生存率は76.5%であるのに対し、ステージ4では3.1%である。がん治療の技術は日々進歩しているが、早期発見が重要であることに変わりはない。

 ところが、日本ではいまだにその認識が定着していない。がん難民コーディネーターの藤野邦夫氏はいう。

「欧米を含めた医療先進国で、がん患者の死亡数が増えているのは日本ぐらい。OECD30か国のがん検診率を見ると、概ね70~80%であるのに、日本は30~40%です。ステージ4でやっとがんが発見される患者が後を絶ちません」

 しかし、ひと言で「がん検診」といっても、住民検診や会社での検診、人間ドックでのがん検診など形態はさまざまあり、メディアでは日々、開発中の新たな検査法が紹介されている。本当にがんがみつかるのか、費用対効果はどうなのかなど、疑問を持つのは当然だ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏はいう。

「検査によって科学的な根拠はさまざまですが、住民検診や職域検診といった国の制度の下で推奨される検査で、集団の死亡率を下げたという根拠があり、受けておきたい。一方で、人間ドックで採用されている検査はより多様ですが、科学的根拠を積み重ねている段階で、発展途上のものも含まれるということは覚えておくべきです」

 人間ドックは従来の検診とは全く別物だと誤解している人が多いが、人間ドックのがん検診というのは、伝統的な実績のある検査を含め、新たに開発された別の検査をさまざま組み合わせて、精度を上げていくものだという。

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン