中国国家統計局長が1月26日、中国共産党中央規律検査委員会によって身柄を拘束されて取り調べを受けていることが発表されたが、同局は経済の統計数字を取り扱っていることから、同局長が事前に外部に情報を漏らし、その見返りに金品を受け取っていたのではないかとの疑惑が急浮上している。米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。
拘束されたのは王保安・局長で、王氏は経済学博士をもつ経済政策の専門家で、財政次官などを経て2015年4月から現職。中国人民銀行(中央銀行)の15人の通貨政策委員の1人。
学者肌として知られ、財政省や国家税務総局での勤務が長く、2009年12月に財政次官補、2012年2月に財政次官に就いており、財務畑の典型的なエリート官僚だ。
同委員会は王氏を「重大な規律違反」で調べていると発表しているが、その具体的な内容を明らかにしていない。
王氏は1月26日午後、中国の経済情勢について記者会見を開き、笑顔を浮かべて質問に答えていた。王氏の摘発が発表されたのは会見が終了した2時間後で、王氏の会見での様子からは規律検査委の追及が身近に迫っているとの切迫感はまったく伝わってこなかった。
国家統計局では、2006年に当時の邱暁華局長が企業から現金を受け取ったなどの疑いで解任され、2007年に党籍剥奪の処分を受けている。
ニューヨーク・タイムズは今回の王氏の容疑について、企業絡みとの見方を伝えている。一方で、今回の摘発の発表が「中国経済にとって非常に微妙なタイミングで行われた」として、王氏が意図的に統計数字を改ざんしたり、発表前に情報をリークして企業側から金品を受け取っていた可能性も示唆している。
同紙は経済専門家の話として、「中国当局は高度成長期にはあえて低く抑えて経済統計数字を発表し、低成長期には数字を高めにするなど操作しており、昨年の7%という経済成長率も、実はその半分くらいだったのではないか」と論評している。