自分では丁寧な言葉づかいを実践できていると思っていても、実は無礼になっているかも──。そこで、間違えやすい言葉遣いの例を、『美しい日本語の作法』などの著書もある小笠原流礼法宗家・小笠原敬承斎さんに教えてもらった。
【例1】
相手「明日までにこの書類を提出しておいてくれ」
自分「了解です。明日までに作成しておきます」
■正解は…「承知いたしました」
「了解です」はよく使いがちな表現だが、丁寧さに欠ける。「承知いたしました」を用いると、より聡明な印象になる。「より丁寧に伝えたい時は“かしこまりました”を用いると、敬う気持ちを表せます」(小笠原さん)。
【例2】
相手「このように使うと便利なんですよ」
自分「なるほどですね。早速、試してみます」
■正解…「左様でございます。/おっしゃる通りです」
「なるほど」は「確かに」、「誠に」という意味で、相手の話の内容を評価する言葉になってしまう。そのため、目上の人に使うのは失礼にあたる。また、幼い印象も与えてしまうので、できる限り控えたい。
【例3】
相手「明日は10時に集合でお願いします」
自分「都合が悪いので、お休みさせていただいてもよろしいでしょうか」
■正解は…「お休みをいただいてもよろしいですか」
「~させていただく」は謙譲語で、自分をへりくだることで相手を敬う言葉。「お休みさせていただく」は、まわりくどいうえに、勝手に休みをとると宣言しているようにも聞こえる。「いただいてもよろしいですか」のほうがスマートで美しい。
【例4】
相手「どうかしました?」
自分「旦那が熱を出して、義母が来てくださっているので、お先に失礼いたします」
■正解は…「主人が熱を出して、義母が来ておりますので、」
公の場では「夫」は「主人」、「妻」は「家内」が望ましい。日常会話なら、「夫」「妻」でもよい。「旦那」は世話をしてくれる人、お金を出してくれる人の意味もあり、「嫁」は息子の妻を指す言葉なので、男性が自分の妻を「嫁」と言うのはおかしい。また、義母であっても自分の身内になるので、敬語を使うのはNG。
※女性セブン2016年5月12・19日号