2012年、2013年と続けて出走したオールザットジャズも跳ね返されました。いずれの年も福島牝馬Sを勝って勇躍乗り込み、特に2012年は2番人気に推されましたが、16着と期待に応えることができませんでした。3歳時にクラシック路線を歩んできた馬とは戦ってきた相手が違ったということなのでしょうか。

 どんな男馬よりも体調のよい牝馬のほうが強い。これが私の経験則です。とくにこの時期の牝馬が同世代の男馬に勝てないようでは、秋のGIは目指せません。

 ウオッカは2008年にもこのレースに出走、4歳のエイジアンウインズをとらえられず2着でしたが、続く安田記念に勝つことができました。このとき4歳牡馬は9着が最高でした。この時期の牝馬の強さを物語っています。牝馬限定だから相手関係が楽ということはなく、ここを目標にした手強い相手が揃うレースになっています。

 角居厩舎のトーセンビクトリーは賞金的に出走できるかどうか微妙ですが、できれば、この時期に強い相手と戦っておきたいところです。

●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後15年で中央GⅠ勝利数23は歴代2位、現役では1位(2016年5月1日終了時点)。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、馬文化普及、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイア、ラキシス、サンビスタなど。

※週刊ポスト2016年5月20日号

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