芸能

再会バラエティー 午後7時台に芸能人出演で復活の事情

『7時にあいましょう』(TBS系)など再会バラエティーが復活

 この春から『あいつ今、何してる?』(テレビ朝日系)、『7時にあいましょう』(TBS系)という再会バラエティーがゴールデンタイムに放送されている。かつては人気を誇った再会モノだが、しばらくレギュラー放送がなく、ここへ来て2番組が突然の復活。その背景に迫ってみると、テレビ局側の編成事情なども見えてきた。テレビ解説者の木村隆志さんが再会バラエティー復活の裏側を解説する。

 * * *
 かつて、1970~1980年代の『それは秘密です』(日本テレビ系)、1990年代の『嗚呼!バラ色の珍生』(日本テレビ系)や『目撃!ドキュン』(テレビ朝日系)、2000年代の『徳光和夫の感動再会!“逢いたい”』(TBS系)などの再会バラエティーが人気を集めましたが、2010年代に入ってからレギュラー放送されている番組はありません。

 最後のレギュラー番組『徳光和夫の感動再会!“逢いたい”』は、特番を年に1~2本放送していたものの、昨年はなかったので、「ついに再会バラエティーは完全に消滅したのか……」と思っていたら、今年の春に突然の復活。しかし、内容は過去の再会バラエティーとは大きく異なっていました。

『7時にあいましょう』(TBS系)、『あいつ今何してる?』(テレビ朝日系)は、ともに“有名人の再会”に特化し、基本的に“一般人の再会”は扱いません。その理由は、一般人の再会は大規模な捜査が必要で、個人情報保護の壁がある上に、シリアスすぎるから。

 テレビ局にとって多額の経費やコンプライアンスの面でリスクが大きく、さらに、現在の視聴者は“涙や感動”よりも“笑いや楽しさ”を求める傾向が強いため、有名人の再会に特化したほうが賢明なのです。

 実際、両番組のMCには、DAIGOさんと有田哲平さん、ネプチューンさんという明るいキャラクターを起用していますし、再会シーンでかつて島田紳助さんや徳光和夫さんが大号泣したようなお約束の涙はありません。「笑いと楽しさの中に時折、涙や感動がある」という現代風の演出で進められています。

 もともと再会バラエティーは、「年齢性別を問わず、家族そろって見られる」「元恋人、幼なじみ、恩人など再会相手が多彩で、笑いと涙の緩急がつけやすい」というテレビ局には手堅い番組。タレント側としても、驚き、ボー然、涙など、「ふだんのキャラクターとは異なる表情を見せられるため、好感度が上がりやすい」というメリットがあります。

 実際、『あいつ今何してる?』は、仲よしトリオのネプチューンがほのぼのとしたムードを作り、ナレーターに人気子役の鈴木星蘭さんを起用するなど、いかにもファミリー志向。6月8日の放送では、横綱・白鵬がモンゴル時代に恋した同級生に大テレしていましたが、それを見る親子それぞれも自分の初恋相手に思いをはせられるのが魅力です。

 しかし、いったん見切りをつけたはずの再会バラエティーを復活させた理由は、何なのでしょうか? 最大の理由は、各局が頭を悩ませる19時代の番組編成にあります。

 19時代はゴールデンタイムのスタートとなる重要な時間帯ですが、ここ数年はヒット番組がほとんどありません。それどころか、「人気番組が視聴率低下で打ち切り」というケースが続出しています。

 事実、『7時にあいましょう』の前番組『私の何がイケないの?』は3年半、『あいつ今何してる?』の前番組『ナニコレ珍百景』は7年半に渡って放送された人気番組でした。それを打ち切らなければいけないところにテレビ局の苦悩があり、特に「19時代にリアルタイムでテレビを見る人はどんな番組を望んでいるのか?」、頭を悩ませているのです。

 録画機器やネットの発達などで、どの時間帯も視聴率を稼ぐのが難しくなっていますが、なかでも19時代は最大の難関。アニメやクイズ番組は激減する一方、外国や動物がテーマの番組が増えたり、わずか半年で打ち切られる番組が続出したり、ターゲットとなる視聴者層すら定まらず混乱している様子がうかがえます。

 そこで白羽の矢を立てたのが、再会バラエティー。前述した過去の再会バラエティーはすべて19時代に放送され、成功を収めました。「有名人に特化する」という現代風のアレンジを加えましたが、「再会」という日本人の琴線にふれるコンセプトにブレはなく、19時代の視聴者との相性は上々。今後はタレントだけでなく、アーティスト、アスリート、文化人など各界の人気者をゲスト出演させることができれば、看板番組になる可能性を秘めています。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

関連記事

トピックス

行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン