スポーツ

角居勝彦調教師 使いながらよくなっていく馬

 トライアルのローズSを勝って臨んだ秋華賞では4着。エリザベス女王杯で5着のあとは中1週でジャパンカップに挑戦。単勝7番人気ながら勝ち馬のジェンティルドンナをハナ差まで追い詰めました。JCを走るのならエリザベス杯には出ないものですが、使われていくうちに調子を上げてくる馬もいる。デニムアンドルビーがそうでした。

 4歳春もドバイシーマ、ヴィクトリアマイル、そして宝塚記念。秋は天皇賞、JC、有馬記念とGIばかりの王道路線を走ってきました。

 そして5歳春は阪神大賞典をステップに天皇賞へ。ここは10着に敗れましたが、宝塚記念で単勝10番人気ながら2着と健闘したのです。トップの牡馬並みのローテーションですが、自分を追い込んで結果を出せるタイプなのだと思います。

 馬主さんの意向もあって厩舎にいることが多かった彼女は目の輝きが強烈で、「次は結果を出します」と訴えかけてくるような雰囲気がありました。

 牝馬は緊張状態が続いても崩れにくい。そこを見込む部分もありますが、相当に頑張りがきくんですね。彼女の存在が厩舎の空気をピリっと引き締めます。成績優秀で人望(馬望?)のあるリーダーです。秋にはまたGI戦線に戻ってきます。

●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後15年で中央GI勝利数23は歴代2位、現役では1位(2016年6月12日終了時点)。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、馬文化普及、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイア、ラキシス、サンビスタなど。

※週刊ポスト2016年7月1日号

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