ビジネス

日本の家電メーカーが韓国・中国企業に勝てない理由

 かつて日本製の家電といえば、世界で愛用されたものだった。ところが、今や日本の家電メーカーはどこも業績不振にあえいでいる。経営コンサルタントの大前研一氏が、なぜ日本の家電メーカーが凋落したのかについて解説する。

 * * *
 日本の家電メーカーの凋落が止まらない。台湾の鴻海(ホンハイ)「精密工業に買収されたシャープは人材流出が続き、不正会計問題で巨大損失を出した東芝は事業売却を強いられている。一時は「V字回復」と言われた日立製作所も、業績と株価の低迷から抜け出せないでいる。ソニーとパナソニックは復調したというが、不振事業から撤退したり赤字部門を切り離したりしているだけで、明確な成長戦略があるわけではない。

 実際、パナソニックは5月末、テレビ用液晶パネルの生産から撤退する方針を明らかにした。2010年に稼働を始めた姫路工場での生産を9月末をメドに終了するという。本来、工場というものは20~30年にわたって生産を続けるのが常識だ。ところが、パナソニックの姫路工場は6年しかもたなかった。なぜ、こんなことになるのか?

 家電メーカーが製品を開発するための機械や部品や材料を作った協力企業が、日本の家電メーカーだけではボリュームが小さいため、それらを韓国企業や中国企業に売ってしまうからである。

 しかも、韓国企業や中国企業の工場に対する投資額は、日本企業のそれをはるかに凌駕している。

 たとえば、日本企業が1000億円を投資するとすれば、韓国企業は10倍の1兆円を投資する。さらに中国企業は韓国企業に勝つためにその3~5倍、すなわち3~5兆円を注ぎ込むといった傾向が液晶、半導体、太陽光パネルなどで繰り返されている。人件費が安いし、方向性は日本企業と韓国企業が検証してくれているから、安心して巨額投資を行なうことができるのだ。

 工業製品はボリュームが大きくなればなるほどコストが下がって価格を安くできる。そして、デジタル製品は性能の差があまり目立たない。だから中国や東南アジアではブランドの知名度にかかわらず、価格が安ければ安いほど売れる。となれば、ボリュームが10~50倍もある韓国勢や中国勢に日本勢が太刀打ちできなくなるのは当たり前だろう。

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン