スポーツ

2020年東京五輪組織委会長・森喜朗氏の解任動議を提起する

東京五輪を成功させるために何が必要か?

 国論を二分するテーマについて、国民の意見を直接反映させる究極の意志決定「国民投票」。日本でも国民的関心事について国民投票を行なうべきではないか、という特集を『週刊ポスト』が企画した。そのなかから、スポーツ評論家の玉木正之氏が発議した、2020東京五輪組織委員会会長、森喜朗の解任動議についてお届けする。

 * * *
 ザハ・ハディド氏がデザインした新国立競技場計画の迷走、エンブレムの「パクリ疑惑」などが続いた時点で、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗・元首相はその職を辞すべきだった。

 しかし、安倍晋三首相は出身派閥の元領袖である森氏を「政治の師」と仰ぎ、辞めさせなかった。永田町で安倍首相に逆らうような声は、当然あがってこない。

 森氏はこれをいいことに「組織をまとめあげるまでが私の役割。あと3年はちゃんとやる」(2015年10月16日付毎日新聞夕刊)と安倍首相の総裁任期の18年までは職に居座る意向だ。

 森氏については、本来あるべきチェック機能がはたらいていない。

 何よりも、大手メディアが頼りにならない。朝日、読売、毎日、日経の各紙はすでに組織委とスポンサー契約を結んでおり、森氏を引きずり降ろすような論調は皆無だ。見透かすように森氏は、契約交渉中の東京新聞が批判的とみるや「スポンサーから外せ」と圧力をかけたと報じられている(『週刊新潮』4月14日号)。

 政治家も、大手メディアもチェック機能を果たさないのだから、森氏に「NO」を突きつけるには国民投票で意思を示すしかない。俎上に乗せるべき問題点は山ほどある。

 7月3日のリオ五輪代表選手の壮行会で森氏は「国歌を歌えないような選手は日本代表ではない」と発言。「声を大きくあげ、表彰台に立ったら国歌を歌って下さい」と持論を展開した。しかし、そもそも五輪憲章は〈選手間の競争であり、国家間の競争ではない〉と記している。表彰時に流れる「君が代」は正式には国歌でなく選手団歌という位置付けだ。

 市川崑・監督の記録映画「東京オリンピック」でも、体操の遠藤幸雄も柔道の猪熊功も金メダルを胸に口を真一文字に閉じていた。〈万感を胸に黙って聴く〉か〈声を大きく上げる〉か。これは趣味の問題で、組織委員会会長の趣味を選手に要求する感覚は、トップの資質として疑問符がつく。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
歌手・浜崎あゆみ(47)の上海公演が開催直前で突如中止に
《緊迫する日中関係》上海の“浜崎あゆみカフェ”からポスターが撤去されていた…専門家は背景に「習近平への過剰な忖度」の可能性を指摘
NEWSポストセブン
逮捕された村上迦楼羅容疑者(時事通信フォト)
《闇バイト強盗事件・指示役の“素顔”》「不動産で儲かった」湾岸タワマンに住み、地下アイドルの推し活で浪費…“金髪巻き髪ギャル”に夢中
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《広瀬すずのぴったりレギンスも話題に》「アスレジャー」ファッション 世界的に流行でも「不適切」「不快感」とネガティブな反応をする人たちの心理
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン