国内

菅官房長官が語る永田町の論理「皆が勝ち馬に乗ろうとする」

菅義偉官房長官が語った「永田町の論理」とは

 その絶大な権力から「影の総理」とも呼ばれる菅義偉・官房長官。これまでその政治キャリアについて、菅氏が自ら語ることはなかった。その知られざる実像に迫った話題作『総理の影 菅義偉の正体』のなかで、ノンフィクション作家・森功氏からのロングインタビューに応えた菅氏は、彼の政治家との原点ともいえる出来事について語った。1998年の自民党総裁選で、所属していた経世会の小渕恵三氏ではなく、いまも政治の師と仰ぐ梶山静六氏を支持し、同派閥を抜け出したのだ。

 * * *
――なぜ梶山氏だったのか。

「当時日本はまさに金融危機のど真ん中で、梶山さんは駄目な銀行をつぶすハードランディング論者でした。そんなことをしたら大恐慌になるとか、いろんな議論があったんですけど、銀行にはやはり大きな問題がありましたから、私も梶山理論に賛同していました。

 で、それを実行し世直しのために総裁選挙に出るべきだと、まだ当選一回でしたけど、小此木の八ちゃん(小此木八郎・衆院議員)といっしょに梶山さんを説得しました。結果的に敗れましたが、多分、2日ぐらい前に決断すれば、梶山総理大臣が誕生していたかもしれないといまでも思っています」

─―なぜか。

「実は初めは小渕さんが総裁選に出るという話はなかったんです。いったん梶山さんが出ないって言ったから、小渕さんが出るとなった。私の当選1期の仲間は45人おりました。そのうち経世会(平成研)は全盛期だったので、30人くらいいました。梶山さんがもっと早く決断すれば、小渕さんは出られなかったのではないかと思っています

――そのせいで野中広務氏には随分にらまれたというが。

「自民党は加藤(紘一)さんが幹事長でしたが、実力者は野中先生でした。梶山さんが総裁選出馬を表明したとき、小渕派全体の選対会議で野中さんが『菅だけは許せない』と私の名前を出したらしいです。

 それを私の友だちが電話で伝えてきました。『菅ちゃん、すげえな、野中さんが……』と報告を頂きました。私自身は実はそんなに気にしてるわけではなく、私が梶山票の多数派工作をやってたから、野中さんはそう言って牽制していたんです。

 ただ、あの選挙をやって、私はすごく勉強になりましたし、永田町という政治の世界が見えてきました。いかに信念のない政治家が多いことか。勝ち馬に乗ろうとする。真剣勝負で戦ったのでいろんな風景が見えました」

※森功・著/『総理の影 菅義偉の正体』より

関連記事

トピックス

衝撃を与えた日本テレビ系列局元幹部の寄付金着服(時事通信フォト)
《24時間テレビ寄付金着服男の公判》「小遣いは月に6〜10万円」夫を庇った“妻の言い分”「発覚後、夫は一睡もできないパニックに…」
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国民に愛された『TOKIO』解散》現場騒然の「山口達也ブチギレ事件」、長瀬智也「ヤラセだらけの世界」意味深投稿が示唆する“メンバーの本当の関係”
NEWSポストセブン
漫画家の小林よしのり氏
小林よしのり氏、皇位継承問題に提言「皇室存続のためにはただちに皇室典範を改正し、愛子皇太子殿下の誕生を実現しなければならない」
週刊ポスト
教員ら10名ほどが集まって結成された”盗撮愛好家グループ”とは──(写真左:時事通信フォト)
〈機会があってうらやましいです〉教師約10人参加の“児童盗撮愛好家グループ”の“鬼畜なやりとり”、教育委員会は「(容疑者は)普通の先生」「こういった類いの不祥事は事前に認知が難しい」
NEWSポストセブン
警視庁を出る鈴木善貴容疑者=23日午前9時54分(右・Instagramより)
「はいオワター まじオワター」「給料全滅」 フジテレビ鈴木容疑者オンカジ賭博で逮捕、SNSで1000万円超の“借金地獄”を吐露《阿鼻叫喚の“裏アカ”投稿内容》
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「TOKIOを舐めるんじゃない!」電撃解散きっかけの国分太一が「どうしても許せなかった」プロとしての“プライド” ミスしたスタッフにもフォロー
NEWSポストセブン
大手芸能事務所の「研音」に移籍した宮野真守
《異例の”VIP待遇”》「マネージャー3名体制」「専用の送迎車」期待を背負い好スタート、新天地の宮野真守は“イケボ売り”から“ビジュアル推し”にシフトか
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン
4月12日の夜・広島県府中町の水分峡森林公園で殺害された里見誠さん(Xより)
《未成年強盗殺人》殺害された “ポルシェ愛好家の52歳エリート証券マン”と“出頭した18歳女”の接点とは「(事件)当日まで都内にいた」「“重要な約束”があったとしか思えない」
NEWSポストセブン
「父としての自覚」が芽生え始めた小室さん
「よろしかったらお名刺を…!」“1億円新居”ローン返済中の小室圭さん、晩餐会で精力的に振る舞った理由【眞子さんに見せるパパの背中】
NEWSポストセブン
多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン