そればかりか、オバマは「アメリカは世界の警察官ではない」と宣言し、“外交的引きこもり”になった。その結果が、中国とロシアの暴走である。オバマは世界を悪いほうにCHANGEしたのだ。
オバマはいまや中国からも舐められている。G20首脳会議に出席するため中国・杭州を訪れた際は、大統領専用機のタラップから降りるオバマにレッドカーペットすら用意されなかった。
オバマの外交を振り返ってみると、舐められる理由がよくわかる。南シナ海を中国の攻勢から守るためにオバマが主導した「航行の自由作戦」は何の実効性もなく、TPPは交渉で合意したものの任期中のアメリカ議会承認すら危うい状況に陥った。
金正恩がミサイルを花火のように連続で発射し、核実験を強行しても、何も対抗策を打ち出すことができない。特に北朝鮮の核実験は、1月に前回(4回目)の実験が行われたばかりだ。これまでは3年ほどの周期で核実験が行われてきた。それを考えれば、前回からわずか8か月という異例のスピードで5回目が強行されたことは、オバマの弱腰外交がおおいに影響したと言わざるを得ない。
アメリカは、中国にも北朝鮮にも舐められるようになったのだ。そして、“スキャンダル女王”ヒラリーや“暴言王”トランプに、あの国を立て直す力はない。「大国」アメリカが崩壊寸前とはそういうことなのだ。
※SAPIO2016年11月号