今年福島を訪れた時、「忘れられるのが一番怖い」と言った住民がいた。十勝に行った時には「中央はおろか、道内ですら被災状況がどこまで伝わっているか」と不安そうな生産者にも会った。
現代に生きる日本人にとって、東日本大震災まで災害はどこか他人事だった。地震や台風などによる被害も、その他のエリアに暮らす者にとっての影響は限定的だったからだ。だが震災、特に原発事故を契機に「食」が地続きであることが再確認され、遠くの災害を自分事として捉える気運も高まった。
人は忘れる生き物だ。位置情報ゲーム、マスコットキャラクター、クラウドファンディングに地場産品……。使えるものはすべて使って記憶にとどめる。それ自体がすでに支援であり。そのためのリソースは必ずある。そして復興支援の形も無限にあるはずだ。