──政治とのかかわりという点では、神社本庁は男系による皇位継承を主張している。なぜか。参拝者の意見は割れるのではないか。
田中:皇室の尊厳護持は国家の根幹です。だからこそ、皇室の伝統が断絶することのないように継承されていかなければならないと考えています。日本の伝統は、100年200年で培われたわけではありません。もっと長い視野を持って考え、判断する必要があります。
神道とは何か。自らの足下をしっかりと見つめ直せば、日本への思いは自ずと一致するはずです。
●たなか・つねきよ/1944年、京都府生まれ。國學院大神道学専攻科修了。平安神宮権禰宜、石清水八幡宮権禰宜、禰宜、権宮司を経て、2001年、石清水八幡宮宮司に就任。2010年、神社本庁総長に就任。神仏霊場会会長、全国八幡宮連合総本部長、世界連邦日本宗教委員会会長なども務める。
●神社本庁/1946年2月設立。戦前は国家機関・内務省神社局(神祇院)があったが、戦後にGHQが「神道指令」で、神社の国家からの分離を命じたため、神社界は宗教法人の神社本庁を設立。約8万の神社を包括し、神職約2万2000人、信者約8000万人を擁す。「神社本庁憲章」に基づき、名誉を象徴し表彰を行う「総裁」は池田厚子氏。同憲章に基づき、神社本庁を総理し代表する「統理」は北白川道久氏。宗教法人としての代表役員が総長。
※SAPIO2017年3月号