「安楽死協会の求めた法律は延命措置の停止であり、欧米で行なわれている積極的安楽死とは全く別物でしたが、日本では安楽死という言葉自体に“殺人”のイメージが付きまとい、議論が深まらなかった。そこで日本では、欧米の安楽死とは違う、終末期における『尊厳死』という考え方が広まっていきました」
尊厳死とは、治療の見込みのない不治や末期の患者が死期を延ばすためだけの延命措置を拒否し、緩和ケアなどで苦しまずに自然な死を目指すというもので、安楽死協会も1983年に日本尊厳死協会と改称した。
2003年には、尊厳死協会が「尊厳死の立法化を求める請願書」を厚労大臣に提出。そして2005年、超党派の衆参両院議員60人からなる「尊厳死法制化を考える議員連盟」が発足した。現在は「終末期における本人意思の尊重を考える議員連盟」と改称し、参加議員数も約200人を数える。
しかし、いまだ法案は国会に提出されていない。同連盟会長の増子輝彦・参院議員(民進党)が言う。
「法案(『終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案』)はすでに作成済みです。法案上程の最終段階にありますが、慎重派の声にも耳を傾ける必要があるため、拙速は避けています。個人的な希望としては、今国会中に上程したいと思っています」
※週刊ポスト2017年2月17日号