尊厳死一覧

【尊厳死】に関するニュースを集めたページです。

自分の意思を尊重した最期を迎えるための「リビング・ウイル」の書き方
自分の意思を尊重した最期を迎えるための「リビング・ウイル」の書き方
 2025年に日本社会は大きな転換点を迎える。「団塊の世代」の約800万人が後期高齢者となり超超高齢化社会に突入する。出生数の多い団塊世代が後期高齢者になると、日本は本格的な「多死社会」となる。【図解】リビング・ウイルは最期の意思表示に 「リビング・ウイル」の書き方例 普段から子供や周囲と意思疎通ができていないと、いざというときに望んだような「死に方」ができない可能性がある。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏が言う。「家族に負担をかけないためにも、前もって自らの死に向き合っておきたい。自分の意思を表明していないと、延命治療で必要以上に苦しんで医療費がかさみ、家族にも『これで良かったのか……』と、後々まで後悔の念を残しかねません」 重要なのは、本人の意思を文書で残しておくことだ。それには、「リビング・ウイル」などの作成と保管を検討したい。「昔は必ず延命措置が行なわれ、最期まで患者の体から管が抜けませんでしたが、最近では本人の意思を尊重するようになりました。私的な文書であるリビング・ウイルに法的な拘束力はありませんが、日本尊厳死協会によると、会員の約9割が死に際して本人の意思を尊重してもらったそうです」(太田氏) 日本尊厳死協会は、協会の基本方針3か条に同意し、入会申込書に本人と家族や友人、かかりつけ医などが署名すると入会できる。 そのうえで、「どこで最期を迎えたいか」「希望しない延命治療」などを「私の希望表明書」に記入し、入会登録すると作成したリビング・ウイルが協会に保管される(年会費2000円、終身会員は7万円)。日本尊厳死協会事務局次長の江藤真佐子氏が仕組みを解説する。「『生前遺言書』とも称されるリビング・ウイルは妻や家族はもちろん、できるだけ周囲の人と共有しておくことが大切です。会員にコピーをお渡しするので、かかりつけ医やケアマネ、民生委員など可能な限り多くの人に思いを伝えておきましょう。会員証で意思表示もできるので、携帯しておくことが望ましいです。 実際に会員が外出先で急に倒れた際に搬送先の医師から、『患者が尊厳死協会の会員証を持っている。手術しても植物状態になると予見されるので、患者の意思を確認したい』との連絡を受けたことがあります。そのときは会員であることを確認し、意思に変更がないことをお伝えしました」 尊厳死協会に入会しなくても意思表示は可能だ。公証役場では、約1万2000円の費用で「尊厳死宣言公正証書」を作成し、保管もできる。「最もシンプルな方法として、100%の効力とは言えませんが、健康保険証の裏側に『私は、延命治療は必要ありません』とサインしておく手もあります。自筆で記入するのが重要で、この場合も作成したら家族や友人などに伝えておきましょう」(前出・太田氏) 多死社会においては、自らの死にも、備えが必要になる。※週刊ポスト2022年3月4日号
2022.03.01 15:00
マネーポストWEB
よき「死に際」には準備が不可欠 不本意な延命治療がなされることも
よき「死に際」には準備が不可欠 不本意な延命治療がなされることも
 人生の最期をどこで迎えるか──。死に直面した時、誰もが考える最大のテーマだろう。住み慣れた自宅や施設への入居など、よき「死に際」を迎えるための選択肢はいくつかあるが、肝心なのが「看取り」の瞬間だ。準備が足りないと、希望どおりの最期を迎えるのは難しい。介護評論家の佐藤恒伯さんが指摘する。【表】代理人カード、家族信託契約書…他、親子で「その時」のために準備しておく重要書類20「自宅での看取りを希望する場合、在宅医と契約するのが一般的です。ただしコロナ禍により通院を控えて訪問診療に切り替える高齢者が増えているので、まずは訪問診療をやってくれるかかりつけ医を確保する必要があります。 また、自宅での看取りを希望する人の容体が急変した際、家族が救急車を呼ぶとそのまま病院に搬送されて、延命治療を施されてから病院で亡くなるケースが多い。容体が急変したら救急車ではなく、かかりつけの在宅医に連絡して指示を仰ぐことが重要です」 終の住処にするつもりで入居した老人施設なのに、看取ってもらえないケースもある。「看取りを行わず、容体が悪化したら病院に搬送する老人施設は多い。『いったん入ったら最期まで看取ってもらえる』という過信は禁物です。また『一般的な看取りは行うけれど、専門医の診断が必要となる合併症がある場合は不可』という老人施設は、糖尿病などの持病があったら看取ってくれません。最期が近くなってから、『うちでは看取れないので出ていってください』となりかねない。しっかり事前に確認することが必須です」(佐藤さん) 最近は胃ろうや人工呼吸器などの延命治療を拒み、なるべく自然に死を迎える「尊厳死」を望む人も増えている。ただし尊厳死を迎えるには、事前に家族と細かい部分まで共有しておく必要がある。看護師・ファイナンシャルプランナーの藤澤一馬さんが話す。「あいまいな形でしか意思を伝えていないと、いざというときに家族や医師の判断で延命処置を施されることがある。また、公正証書の『尊厳死宣言書』というものもありますが、記すことは『苦痛を取り除く行為は受ける』『医師に非はありません』といった、抽象的で意思が伝わりにくい内容です。『胃ろうは絶対に嫌』『意識もないのに、ただ息をするだけの管はいらない』など、具体的な意見を文書に記しておき、署名と押印をして家族に預ける方が効果的です。コロナ禍のいまは病院へ行くのを控える人も増え、医療者側に意思を伝える機会が減っているので、家族のキーパーソンとしっかり話しておくべきです」※女性セブン2021年6月17日号
2021.06.12 07:00
マネーポストWEB
各界の著名人は自身の最期をどう考える(写真は作家の呉智英氏)
呉智英氏、高田明氏、釜本邦茂氏が語る「理想の死」と「避けたい最期」
【NEWSポストセブンプレミアム記事】 自らの死、身近な人の死に深くかかわることだからこそ、安楽死、尊厳死には賛否がある。近年は「自らの死に方を自由に決める」ということを権利と捉えるような議論も登場している。“決断”が必要な局面に備えて、一人ひとりが自分の考えを持つことも重要だ。各界の著名人はどう考えるか。意見を聞いた。気持ちよく逝きたい「重病になって苦しむのは嫌ですね。糖尿を患い、肺炎も併発したのに、医学の進歩で死ねなかった母は、最後の1年はずっと“早く死にたい”と言っていた。安楽死も尊厳死も賛成です」 そう断言するのは、評論家で作家の呉智英氏(74)。日本では安楽死は違法、尊厳死はグレーとされるが、呉氏は、「2つに違いはあるのでしょうか」と問いを投げかける。「安楽死と尊厳死、または単なる自殺の場合でも、その線引きは難しい。たとえば、20歳の若者が人生をはかなんで死を望むことと、80歳で老い先が短く治る見込みのない病気を患った人が死を望むことに、どこまでの違いがあるのでしょうか。 もちろん、20歳の若者が失恋して自殺を望んでいれば『やめなさい』と止めるに決まっていますが、30歳で難病を患っている場合はどうなるのか。線引きをしようとすると、結論が出なくなる。私としてはそこを厳密にせず、安楽死も尊厳死も認めるのがいいと考えます」 呉氏の母親は、亡くなる半年前に発症した肺炎から回復した後、何度も「あの時に死ねばよかった」と話していたという。「なかなか『そうだね』とは言えませんよね(苦笑)。でも、もう糖尿で足の骨が露出しかけて、痛いし、苦しい。尊厳死にできたら良かったのかなと思います。一方で、医学的にどうやるのかの問題はある。麻薬のようなもので、意識レベルを下げていくことになるのか。とにかく、気持ちよく死んでいくのがいいって思うね」「まだ死ねない」という思いも 明確に賛成という意見もあれば、「まだ決められない」という声もある。通信販売大手「ジャパネットたかた」の創業者で実業家の高田明氏(72)だ。「私はある時期から、『117歳まで生きる』と言ってきました。『今を生きる』ということを信条にやってきて、安楽死や尊厳死について『答えを出すのは、時期尚早』というのが、今の私の考えです」 70歳を過ぎて、周りの友人が亡くなることも増えたが、それでもまだ「答えを出す時ではない」と考えているという。「(東大名誉教授の)姜尚中さんが『長崎新聞(5月27日付「コトノハとの出会い」)』に寄せた原稿に、〈全てのわざには時がある。(中略)あらゆる物事には起こるべきタイミングがある。この10年で僕も変わりました。時が熟成して初めて分かることがある〉 と書かれていました。『全てのわざには時がある』とは旧約聖書の一節だそうですが、いつか私も安楽死や尊厳死と向き合う時が来るのだと思います。その時に考えればいい、という思いです」 ただ、年齢を重ね、「死について考えるようになった」とも語る。「死というものに縁遠かった60代から、70代になった今、心身ともに衰える部分はあるわけで、だんだんと“考えないといけないのかな”と思うようにもなりました。 仲間と死に際について話す時も、60代の頃は『管を20本つないでも生きる』と言っていましたが、今は『10本くらいでもいいかな?』と、言うようになった。それが80歳になったら“5本でいいか、3本でもいいか”となるのかもしれません。もちろん、“やっぱり、管を20本つなぐ”と言うかもしれませんが(笑い)」 その上で、こんなふうに締めくくった。「安楽死と尊厳死についての考えは、自分の年齢や心身の状態だけではなく、周りの環境によっても変化すると思います。 安楽死を否定はしませんが、死というのは自分だけのものではない。『家族のためにまだ死ねない』ということもあり得るでしょう。“周りに対する責任を果たせた”“自分の役割は終えた”と思って死にたいですね」もし、家族が死を望んだら…「自分の最期は安楽死でもいいけど、家族が重病の時に死なせる決断ができるかといったら、それはできない」 そう語るのは、元日本サッカー協会副会長の釜本邦茂氏(77)だ。この問題を考える時、“家族が苦しんでいたらどうするか”という視点も重要だ。 理想の最期を「両親のような逝き方」だと言う釜本氏は、2003年、2004年と、続けて両親を見送った。90歳で他界した母、95歳で亡くなった父ともに、「誰にも迷惑をかけない最期」だったと振り返る。「死に目には会えませんでしたが、両親の逝き方が僕の理想。母は自宅の布団で眠るような最期を迎え、先に母を亡くした父は、老人ホームに入居した1年後に逝きました。2人とも最後まで認知症もなく、身の回りのことも自分でできた。あんな最期を迎えたいと思います」 そうした両親の最期を手本とする釜本氏は、「家族に迷惑をかけたくないから、安楽死と尊厳死に賛成」の立場を取る。法整備も進めたほうがいいと考えている。 ただ、「あくまでそれは選択肢のひとつ」とも強調する。「知人のなかには過剰にも思える延命治療を受けている人がいる。その家族はやはり、看護や介護で大変な思いをしています。そういう状況を見ると、自分が周りに迷惑をかけないためには、尊厳死はもちろん、安楽死でもいいと思っています。 けれども、家内や子供たちが生死の境にいるような事態になったら、一日でも長く生きてほしいと願うでしょう。今回の取材に答えるにあたって家内に聞いたら、『家族には(安楽死の判断を)できない』と、私と同じことを言っていました」 家族が安楽死や尊厳死を望んでいたら、その考えを支持できるのか──。 死は当人だけの問題ではなく、残された人たちの問題でもある。そのため、「元気なうちから家族で話し合っておくことが大切になるでしょうし、さらには、本人の意思を書面で確認できるケースに限るといったルール作りが必要ではないでしょうか」と、釜本氏は言う。「制度の整備を進めるなら、70歳の誕生日を迎えた時点で安楽死や尊厳死、延命治療についての自分の意思を役所に届け出るといった仕組みがあったほうがいいのではないか。考えが変わったら更新すればいい。 認知症になったら、本人の意思が確認できないケースもあるから、書面のかたちで家族が確認できるようにしておくのです。安楽死や尊厳死を認めるなら、残された家族が判断に苦しむことのないような仕組みづくりが重要だと思っています」認知症になったとしても「父は、尊厳死については明確に賛成しています」 そう語るのは、認知症研究の第一人者であり、自身が認知症を患っていることを公表している長谷川和夫氏(92)の長女、南高まり氏(58)だ。「父は1995年に、母と一緒に『日本尊厳死協会』に入会しました。クリスチャンである父はよく『生かされている』という言葉を使います。それは、人間は『人に支えられて生かされ、また、神に生かされている』という意味です。 病気やケガなどで回復の見込みがない場合に点滴やチューブでつながれて“ただ生かされる”、そうした自分の意志が届かない状態は望まないと父は話します」 2017年に「嗜銀顆粒性認知症」と診断された長谷川氏は、尊厳死を望む意思をどのように表明しているのだろうか。「2013年、父がまだ現役だった頃、尊厳死の宣言書と、『事前願い』として亡くなった時に連絡してもらいたい宛先や葬儀に関する要望が書かれた手紙を預かりました。何かあった時はこの通りにしてくれ、ということです」 どんな死に方を望むか──本人にも、家族や周りの人間にとっても重大な判断となる。だからこそ、自分の意思の伝え方について、一人ひとりが考えることが重要になる。※週刊ポスト2021年6月18・25日号
2021.06.08 11:00
週刊ポスト
泉ピン子さんは橋田壽賀子さんを「ママ」と慕っていた(映画『おしん』製作発表にて/時事通信フォト)
泉ピン子が語る橋田壽賀子さんの最期 私が「管を抜いて」と言った
 自分の死に時くらい、自由に決めたい──長生きが必ずしも“幸せ”ではなくなってきたからこそ、「安楽死」や「尊厳死」が注目されている。苦しみながら生きるくらいなら、穏やかな死を選びたいと願う人は少なくないが、日本では議論も法整備も進んでいない。 今年4月4日、『おしん』『渡る世間は鬼ばかり』など数多くの作品を手がけた脚本家の橋田壽賀子さんが、急性リンパ腫のため95歳で亡くなった。 橋田さんはかねて、「死に方くらい、自分で決めたい」と明かしていた。92歳の時に上梓した著書『安楽死で死なせて下さい』には、〈病院にせよ自宅にせよ、ただベッドに横たわって死を待つなら、そうなる前に死なせてほしい〉 と、綴られている。人に迷惑をかける前に死にたい──橋田さんの意思表明には大きな反響があり、「安楽死」や「尊厳死」を巡る議論に注目が集まるようになった。日本尊厳死協会理事の丹澤太良氏が解説する。「そもそも『安楽死』とは、医師による致死量の薬品投与などで死に至らせる“限りなく自殺に近い行為”を指します。一方、『尊厳死』は医学では手の施しようがない疾患で死期が目前に迫る患者が、人工呼吸器などの延命治療を拒否し、自然に近いかたちで死を迎え入れることを言います」 安楽死は、ベルギーやスイスなどでは合法だが、日本では法的に認められず、過去には関わった医師らが刑事罰に問われたこともある。尊厳死も法制化されておらず、「グレーゾーンの状態」(丹澤氏)となる。 そうした曖昧さもあり、本人が尊厳死を望んでいても周囲が延命治療を選択してしまうこともある。夫を先に亡くしていた橋田さんは前出の著書で、〈家族のいない私が昏睡状態にでもなったら、“最善の”延命措置をされてしまうに違いありません〉 と不安を綴っていた。実際には、どのような最期を迎えたのだろうか。橋田さんを“ママ”と慕って長年にわたり母娘のような交流を続け、最期を看取った女優の泉ピン子さん(73)に聞いた。「『(酸素吸入の)管を抜きますか?』と先生に聞かれて、『抜いてください』と伝えました。するとママは、眠るように、声も出さず亡くなりました」 そう明かす泉さんによれば、1か月ほどの入院生活を送っていた橋田さんは、本人の希望で4月3日に熱海の自宅に戻った。そして、翌日に息を引き取ったという。「亡くなった日は人工呼吸器をつけていて、すごく息が苦しそうに見えました。ママはずっと『老衰で死にたい』と言っていましたが、最期を決める家族が誰もいなかった。 先生に『管を抜くとどうなりますか?』と聞いたら、『息が浅くなり、苦しまずに楽になります』とおっしゃったので、ママの友達と一緒に『じゃあ、取ってください』とお伝えしました。そうすると、本当に息が浅くなって普通に寝ている状態のようになって……。『ママ!』って叫んだら一度パチッと目を開けて、私と目が合ったんです。それからまた目をつむって、そのまま息を引き取りました」私もあんな死に方がいい そんな橋田さんの最期を見て、「私もあんな死に方をしたいと思った」と、泉さんは語る。「病院から戻ったら、自宅の窓から満開の桜が見えて、『ママ、桜だよ』って。何十年もかけて大きくなった桜が、絵画のようになってね。それが、ママが亡くなったら雨が降って全部葉桜になったの。周りにはお手伝いさんや私や友達がいて。そんな理想的な死に方ってある? 最高ですよ」 結局、橋田さんが考えていた「安楽死」とは違うかたちとなったが、周囲からは穏やかな最期に見えたという。泉さんはこの経験を通して「死について考えた」と続ける。「いくら安楽死を望んでいても、死期に合わせて(外国人でも安楽死ができる)スイスに行けるわけではない。そもそも『100歳まで生きる』と言っていた人が、あんなに急に死ぬんですからね。ママを見て、『自分の思った通りには死ねないんだ』って、改めて難しさを感じました」 また、橋田さんの延命治療を止めたことについては、複雑な心境を語る。「ママは、本当は死ぬことが怖かったんじゃないかな、とも思うんです。口では『安楽死、安楽死』って言っていたけど、本当はすごく臆病で、もっと生きたかったんじゃないかな。そうでなければ、血液検査のために毎月2回も病院に通わないし、あんなにたくさん薬を飲まないでしょう。 でも、もし私が同じ立場だったら管を抜いてほしい。だから、その判断について後悔はしていないという気持ちです」 そう言った後に、「でも正直、ずっと後悔はするかな。間違いじゃなかったのかなって……」とも付け加えた。安楽死や尊厳死は、本人にとって重大な問題であるとともに、残された者にも葛藤がつきまとう。戒名はいりません 橋田さんは生前、エンディングノートを書いたと話していたというが、「亡くなってみたら、それがなかった」という。「全部細かく書いてあるって言ってたのにね……。ママが言っていたのは、『お別れ会をしないでくれ』『誰にも知らせないでくれ』だった。“華やかな葬式をしてくれ”って言うと思っていたから意外でした。 だからお葬式はごく簡単なものにして、霊柩車も使わず、ただのバンみたいな車。お棺も焼いちゃうんだから一番安い木にして、お葬式には39万円くらいしかかかってないの。お経は私があげて、戒名はいらないって言っていたから、『橋田壽賀子』ですよ」 そうして看取りを終え、改めて「死ぬことが人生で一番大変なんじゃないかな」と感じたという泉さん。この経験が、自分の“人生の終え方”を考えるきっかけにもなったと話す。「安楽死が日本の法律で認められれば私も望みますが、法制化されていない今の状況では反対です。 尊厳死は大賛成。認知症とかでよくわからなくなって夫に暴言を吐くとかは嫌だし、管だらけになるのも嫌だから『私が役者として人前に出られなくなったら殺して』と、(医師である)主人には伝えています。人間として、最期は尊厳を持ちたいの」 身近な人の死を側で見ることは、「生を見つめ直すきっかけ」にもなる。※週刊ポスト2021年6月18・25日号
2021.06.07 19:00
週刊ポスト
高田明氏「自分の命を表現できるような死に方って偉い」
高田明氏「自分の命を表現できるような死に方って偉い」
 新型コロナは多くの人に「医療と死」を考えるきっかけを与えた。日本を含む先進諸国では、人はどのような医療を受けるか、あるいは受けないかを自分で決めることができる。しかし、感染症だけは別である。社会の安全を守るため、法律によって強制的に入院・治療させることができる。2021年2月には、それを拒否した者に過料を科すことができる改正感染症法が与野党の賛成で成立した。 もちろん、コロナにかかっても治療を拒否して死を選ぶという国民はほとんどいないだろう。しかし、入院はしたくない人、重篤な状態になったなら自宅に帰りたいと考える人、人工呼吸器はつけたくない人などはいるはずだ。もともと感染症法には行政が入院や治療を強制できる規定はあったが、これまで罰則がなかったのは、国民一人一人の自由と人権を尊重するためである。日本はそこから一歩、踏み込んだ。 国内ではまだ積極的安楽死は認められていないが、延命治療を拒否して自ら死を選ぶ消極的安楽死(尊厳死)は認められている。それが、コロナでは必ずしも認められない。家族にも会えない隔離病棟で、自分の治療方針を決めることを許されずに亡くなる患者の無念はいかばかりか。そうした悲劇が毎日どこかで起きているコロナ禍の日本で、『週刊ポスト』(6月7日発売号)は「安楽死」を特集している。延命治療を望まず4月に亡くなった脚本家の橋田寿賀子さん(享年95)を看取った女優・泉ピン子氏(73)のインタビューをはじめ、多くの著名人・論客が「医療と死」について語っている。その特集で「安楽死、尊厳死を選ぶかどうかは死期が近づいてみないとわからない」と率直に述べたのが、ジャパネットたかた創業者の高田明氏(72)である。常々「117歳まで生きる」と豪語している同氏に、改めて「理想的な死に方とは何か」を訊いた。 * * * 60代までは、死というものを身近に考えることはほとんどありませんでした。しかし、70代になり、周りの友人も何人も亡くなり、やっぱり身体の衰えというのも出てきますから、そういうことを考えなきゃいけないのかなと思うようになりました。 でも、まだまだ修行が足りなくて、人間の死ってなんだろうという答えは出ない。先日亡くなった橋田壽賀子さんが、いつも「安楽死で死にたい」とおっしゃってましたよね。それは橋田さんが90歳を過ぎてそういう感じ方をされるようになったのではないでしょうか。だから僕も今の歳で安楽死や尊厳死の答えを見つけるのは難しい。きっと、80、90と歳を重ねていくなかで何か見えてくるのでしょう。 死って自分だけのものじゃないですよね。周りの人にとっても自分の死は特別な意味がある。そう考えた時に、周りの人のために一日でも長く生きられるならそうしたいという考え方もあります。だから、絶対に尊厳死を選ぶと言っていても、実際はそうしない人は多いし、それでもいいと思うんです。 樹木希林さん(2018年没、享年75)の飄々とした生き方を見ても、先日がん治療のためにオーストラリアに渡った西郷輝彦さん(74)を見ても、やっぱりみんな偉いなあ、自分の命を人のために表現することができるのはすばらしいなあ、と思います。同じ病気で苦しんでいる人たちに自分の生きる姿を示すというのは、とても意味のあることですし、万が一の時にも、最後まで世のために尽くした生なんだろうと思います。 そういう生き方と最期を求めたくなるのは、やはり歳を重ねてきたから。でもまだ僕はそういう境地には行き着かない。今はまだ、尊厳死に対しても答えを出せる自分にはなれていません。だから、それを選ぶ人も選ばない人も否定できませんし、死ぬってことは周りに対する責任もあるのだから、最後の最後に自分が良いと思うほうを選べばいいんじゃないかと思っています。
2021.06.05 07:00
NEWSポストセブン
医療における「最後の選択」をどう考えるか(イメージ)
人生最後の明暗を分ける 死ぬよりつらい「延命治療」の真実
【NEWSポストセブンプレミアム記事】 眠るようにして穏やかに息を引き取りたいというのは、多くの人に共通する願いだが、なかなかそうはいかない現実がある。医療における「最後の選択」を誤ると地獄の苦しみを味わうことになりかねない。何が人生最後の明暗を分けるのかを見ていく。「今でも『私が母を殺したのではないか』との罪悪感が拭えません」 長年、介護してきた母親の最期をそう振り返るのは、エッセイストで教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこ氏(59)だ。 脳の難病を抱え、自宅近くの老人ホームに入所していた母の容体が急変したのは2017年のことだった。老人ホームの訪問医から突然、こう告げられた。「お母さんの命はあと10日ほどですが、延命治療をしますか?」 鳥居氏が続ける。「医師によれば、入院させれば延命できるとのことでした。いきなり、『どうしますか? 決めてください』と答えを迫られたのです」 母との別れは少しでも先に延ばしたいが、病院に移れば、体中を管につながれて寝たきりになる可能性が高い。悩んだ末、鳥居氏は事前に母が延命治療を拒否する意向を示していたこともあり、「治療を受けない」という選択をした。 しかし、鳥居氏の母が迎えたのは、穏やかとは言えない最期に見えたという。「数日が過ぎたあたりから、看取りのために一滴の水さえ与えられなくなりました。施設長からは『誤嚥して肺に水分が入ると、“溺れるような苦しみを強いられる”』と説明されました。会話はもうできない状態でしたが、すごく苦しそうで……。私は何もできず母が干からびていくのを待つしかありませんでした」(鳥居氏) 鳥居氏の母はその状態で、約1か月間生きた。何度も「救急車を呼んで病院に入院させたほうがいいのでは」という思いに駆られた。「延命治療をしない」ことが「苦痛がない死」とは限らないことを知ったという。喉を切開して呼吸器を では、看取る家族に対して苦しい決断を迫る「延命治療」とはどういうものなのか。終末期医療に詳しい長尾クリニック院長の長尾和宏医師が解説する。「病気や事故、老衰などで回復の見込みがなくなり終末期、つまり“人生の最終段階”と判断された患者の命を少しでも延ばすために病院などで行なう医療処置のことを指します。様々な処置がありますが、口から栄養を摂ることが困難な患者への『人工栄養』、腎不全の患者への『人工透析』、呼吸困難な患者への『人工呼吸』が3大延命治療と呼ばれます」 このうち人工栄養には、胃に開けた穴から直接水分や栄養を注入する「胃ろう」や、鼻からのチューブを通して栄養剤を胃袋に流し込む「経鼻胃管」、水分や電解質を点滴や注射で入れる「輸液」などがある。 自力で呼吸ができなくなった時、人工呼吸器を装着する際には、気管内挿管または喉を切開して管を入れる「気管切開」という処置が必要になる。こうした延命治療が終末期の患者にとって「苦しみ」になることがあると長尾医師は説明する。「欧米では、老衰で口から食べられなくなった高齢者に無理やり食事介助したり延命措置を施したりすることは、“虐待”と考えます。 それでも日本では、家族からの訴訟リスクを回避するために延命治療を勧める傾向にあります。しかし終末期に過剰な治療を続けると、患者の苦しみは増すばかりです」 長尾医師は病院勤務医時代に苦しみながら最期を迎える患者を数多く見てきた。「現在、多くの大病院や急性期病院では高齢の終末期患者に1日約2リットルの栄養剤を注入します。その結果、心臓や肺に大きな負担がかかり、心不全や肺水腫による呼吸困難が生じてもがき苦しみます。つまり、ベッドの上で“溺れながら”管だらけになるのです」 長尾氏の言う“栄養剤”とは「高カロリー点滴」を指す。過剰な量の点滴を受けた遺体は「むくんでずっしりと重い」と長尾氏は言う。「日本は国民の8割が“ベッドの上で溺れ死に”している国です。がんでも老衰でも医者が患者の痛みや苦しみを作り出しているのですが、気がついていないのです」(長尾医師)自宅で死にたいけれど 一方、自然に脱水しながら死んでいくことを長尾医師は“枯れて死ぬ”と表現する。「苦しみや痛みが少なく最期まで話せて食べられて、長生きする」という。「在宅医療の場合、自然な脱水を見守ることができます。脱水は痛みや様々な苦痛を緩和するうえで重要なポイントです。 人間は年齢を重ねるほどに体重に対する水分の含有量は減ります。1日2リットル(2000キロカロリー)もの点滴は、終末期には最悪です。過度な点滴は患者を苦しめるだけ。終末期は自然に任せて緩和ケアに徹する医療がベストです」(長尾医師) 多くの人は“管につながれた最期”を望まない。厚生労働省がまとめた「人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書(平成29年度)」では、7割前後の人が「胃ろう」「人工呼吸器」などの治療を望まないと答えている。「最期を過ごしたい場所」として「自宅」と答えた割合は約半数を占める(末期がんの場合)。 しかし、政府統計によると、実際には日本人の約80%が病院や施設で最期を迎えている(別掲図参照)。理想と現実には乖離があるのだ。 患者本人が望まなくても、家族が“少しでも長く生きていてほしい”と願い、延命治療を選択してしまうことは少なくない。 思い違いもあるだろう。前掲の厚労省の意識調査報告書では、約半数の人が最後に受けたい治療として「点滴」を挙げているが、それが長尾医師の指摘したように“溺れ死に”につながるリスクがあるものだと理解している人は多くないはずだ。 また、冒頭で鳥居氏が話した通り、“枯れる死”も周囲からは本人が苦しんでいるように見える場合がある。いくら看取りをする医師に、「本人は苦しんでいないので、そのままにしたほうがいい」と言われても、家族には最期を迎える人の苦しみは分かりようがない。「やっぱり病院で処置をしてあげてほしい」と後から家族が言い出すこともあるだろう。 そうした状況で惑わないためには、どうすればいいのか。119番は苦しみの始まり! 家族が医療に一縷の望みを託した結果、「苦しい死」を招くケースは少なくない。 原因不明の神経難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)が進行した70歳の男性は死期が迫り、手足が動かず話もできなくなった。 男性は事前に延命治療を拒否して、自然な死を受け入れる意思を表明していたが、いよいよ旅立ちを迎えようとした際、駆けつけた息子が119番で救急車を呼び、搬入先の病院で人工呼吸器を付けられた。 この男性の在宅医療医を務めていた、小笠原内科・岐阜在宅ケアクリニック院長の小笠原文雄医師が語る。「病院に駆けつけると、男性は意思表示用の文字盤を使って『はずして』と涙ながらに訴えました。ALSを患うと多くの場合、呼吸ができずに朦朧とするために痛みを感じづらくなります。しかし、人工呼吸器につなぐことで体内に酸素が増え、痛みの感覚が戻ってくることもあります」 人工呼吸器をつけられた患者のなかには、苦しみのあまり自ら器具を外そうとして、両手を縛られるケースもあるという。 結局、この男性は1年間も人工呼吸器をつけたまま生き続け、病院で亡くなった。「臨終間際の高齢者のために救急車を呼ぶことは慎重になってほしい」と小笠原医師は指摘する。「救急車を呼ぶということは、“救命を望む”という意志表示です。病院側は延命を望む患者には必死で治療を行なうので、医療従事者は場合によっては骨折しても心臓マッサージを続けます」 心臓マッサージが効果を発揮するには胸の厚さの3分の1まで圧迫する必要があり、末期がん患者や高齢者は骨がもろくなっているために圧迫によって肋骨が折れることがある。「日本では何かあれば救急車を呼ぶことが常識とされますが、何よりも本人の意思を尊重することが望ましい」(小笠原医師) 救急車を呼ぶことで、逆に苦しめてしまうこともあるのだ。「終末期鎮静」のリスク 苦痛を和らげようとして悲劇を生むケースもある。昨今、その是非が問われているのが、安楽死にも似た「終末期鎮静」だ。「一睡もできないほど耐え難い苦痛のある患者に対し、鎮静剤を投与して“永遠の眠り”につかせる終末期鎮静のことを医療用語で『持続的深い鎮静』と言いますが、持続的深い鎮静をされた患者は最初に『心の死』、次に『肉体の死』を迎える。 私には“2度殺される”ということに思えてなりません。また、家族がこの方法に同意した場合、『私たちが死なせてしまった』という後悔の念を抱き続ける可能性もあります」(小笠原医師) 現在、在宅医療でも広まってきている持続的深い鎮静については、「患者にとって本当に幸せなのか」という議論が起こっている。 小笠原医師は、持続的深い鎮静をしなくても苦痛を和らげる方法があると話す。「痛みを感じた時に患者自身がモルヒネを投与できる『PCA』という装置を活用して痛みを和らげます。さらに『夜間セデーション』という方法で夜は深い眠りにつき、朝は目覚めることができます。これなら患者本人に希望が湧き、家族の負担も減らせます」 小笠原医師の在宅医療チームでも過去に持続的深い鎮静を行なうか検討されたケースがあった。 他の部位に転移するなどしてつらい入院治療を続けていた70代の末期がん女性は、病院を緊急退院して在宅ホスピス緩和ケアに切り替えたことで“笑顔でピース”ができるほど穏やかに過ごしていた。しかし、モルヒネの投与量が足りず、次第に痛みが増してきた。 取り乱した女性の夫に対し、持続的深い鎮静を提案する医師もいたが、小笠原医師が夫に説明して、モルヒネの量を増やし、夜間セデーションを施すと苦痛が緩和された。するとぐっすりと眠れて、穏やかな気持ちで過ごせるようになり、女性の最期の言葉は「ありがとう」だったという。「どうすれば質の高い旅立ち『QOD(クオリティ・オブ・デス)』が叶うのかを考える必要があります。そうすれば、旅立つ人も見送る人も心穏やかに過ごせるはずです」 小笠原医師は、“過剰な終末期医療”を問題視する。その犠牲とならないために実施しておくのがよいと推奨されているのが、家族会議「ACP」(アドバンス・ケア・プランニング)だ。「患者や家族、医師、訪問看護師、ケアマネジャーなどと事前に話し合い、『延命治療をするかしないか』『救急車を呼ぶか呼ばないか』『誰に電話をするといいか』などをあらかじめ決めておくのです。患者本人の願いを尊重することが、QODを叶える近道だと思います」(小笠原医師) 穏やかな最期を迎えるには、患者と家族、医師の意思疎通が重要となる。では、どのように希望する最期の過ごし方を伝えればいいのか。「リビング・ウイル」の残し方 ACPと同様に、意思を表明できるのが「リビング・ウイル(終末期医療における事前指示書)」だ。日本尊厳死協会事務局次長の江藤真佐子氏が語る。「どう死にたいかではなく、“人生の最期をどのように生きたいか”を考えるのが『リビング・ウイル』です。終末期にどんな医療を選択するかを書面に残し、最期まで自尊心や尊厳を持って生き抜くことが大切だと我々は考えています」 日本尊厳死協会のHPには「終末期の延命措置の拒否」「苦痛を和らげるための緩和医療の実施」「持続的植物状態での生命維持措置の取りやめ」の3項目の意思表示を柱としたリビング・ウイルの原本がある(別掲表参照)。「この3か条に同意できる方が日本尊厳死協会に入会登録すると、書面が協会で保管され、会員証で意思表示ができます。ただし、会員外の方が原本を参考に自分なりの書式で書類を作っても構いません」(江藤氏) エンディング・ノートをつけているなら、「私の最期について」などの欄に「延命治療を希望するか」といったことを書き残せるはずだ。 その場合、「最期にどこで誰と過ごしたい」「どういう治療をされたい・されたくない」といった事項をなるべく詳細に記入するのが望ましいという。 準備は早めに進めておくのがよいと江藤氏は続ける。「死期が近くなってからでは、気持ちの余裕がなくなり冷静に書けなくなることが多い。意思を表示する書面は思い立ったらすぐに作成しましょう。1回書いて終わりではなくて、誕生日やお正月などの1年の区切りに見直すことが重要です」 元気なうちに自分の生き方と真正面から向き合うことが必要だ。それが、家族にとっても自分にとっても「幸せに死ぬ」ことにつながる。※週刊ポスト2021年5月28日号
2021.05.17 07:00
週刊ポスト
事務所独立も明らかに
加賀まりこ、ひっそり事務所独立 年下カレと二世帯同居
 緊急事態宣言が解除され、人通りも増え始めた東京・神楽坂。その中で、マスクをつけていても隠しきれないオーラを放つ女性がいた。女優の加賀まりこ(76才)だ。 行きつけの中華料理店の前で足を止め、店の女将と親しげに言葉を交わすと、ゆっくりとした足取りで自宅へと帰っていった。「加賀さんも、神楽坂が長いからね」と言うのは件の女将。「ひとり暮らし? いえいえ、加賀さんはお兄さん夫婦、それからパートナーのかたと一緒に暮らしていますよ」 加賀のパートナーは、かつてTBSの制作局にいた6才年下の男性だ。約20年近く事実婚状態にある。「もともとは麻雀仲間だった2人が交際を始めたのは、加賀さんが60才を目前に控えた頃です。“最後の恋”と感じた加賀さんから交際をもちかけ、そこから5年越しで恋が実ったそうです。 幼い頃から暮らしている神楽坂の一戸建てを改築して、1階に兄夫婦、2階に加賀さんとパートナーが住む“二世帯同居”をしていると聞いています」(テレビ局関係者) さらに最近も、加賀は人生の選択をしていた。3月末で長年所属していた芸能事務所をひっそりと退社し、個人事務所で芸能活動を続けているのだ。「加賀さんの半生は華やかなものでした。17才でデビューした後、パリへ渡って現地の有名監督と交流し、日本でも有名なイタリアン『キャンティ』の常連として、三島由紀夫や丹下健三と友好を深めました。ただ、それらはもう過去のものなのでしょう。去年は1年がかりでドラマ『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日系)という大仕事も終え、80才が近づき、終活の一環として独立したのだと思います。あまり知られていませんが、谷中霊園(東京都台東区)に墓地を購入したり日本尊厳死協会の会員になったりと、加賀さんは終活と向き合っている人なんです」(加賀の知人) 本人に、現在の心境をたずねてみた。「『やすらぎ~』が終わって、そのタイミングで独立したんです。特別なことは何にも。あんまりね、若くもないしバリバリ仕事するわけでもないから。ひとりが、個人事務所がいいなって。理由はそれだけ。それ以外特にないのよ」 飾らず、思うままに。それが加賀の終活術なのだろう。※女性セブン2020年6月18日号
2020.06.05 16:00
女性セブン
「若者に譲る」という決断ができるか(Avalon/時事)
若者に医療を譲る意志カードが話題 今こそトリアージの議論を
 大阪大学人間科学研究科未来共創センター招聘教授で現役医師(循環器科専門医)の石蔵文信氏(64)が高齢者向けに作成した「集中治療を譲る意志カード(譲カード)」が話題を呼んでいる。表面には次のように記されている。〈新型コロナウイルス感染症で人工呼吸器や人工肺などの高度治療を受けている時に機器が不足した場合には、私は若い人に高度医療を譲ります〉「譲カード」には医療現場の負担を軽減する狙いがある。医療崩壊が起き“命を譲るか”の選択を迫られる事態になった場合、尊厳死や安楽死と違うのは、「自分の死に方を決める」だけでなく、それが「他人の生死」にも関わってくるということだ。 評論家の呉智英氏(73)は、「今こそ『トリアージ』の問題を本格的に議論していくべき」と指摘する。「トリアージとは、非常事態の際に、明らかに助かる可能性が低い人、軽症の人、という形で患者を重症度によっていくつかの段階に分け、治療の優先順位を決めることです。2011年の東日本大震災の時にも注目された言葉で、この時には被災者本人の意思を問うことなくトリアージが行なわれたことに議論が起こりました。 今回のコロナでも亡くなっている人の大半は高齢者で、80歳を超える人が重症化したら亡くなる可能性が高い。 とはいえ、医師側の判断で“誰を助けるか”を決めたり、高齢の患者につけられた人工呼吸器や人工心肺を外すのは2011年のときと同じように議論や批判が起こるだけでなく、あとになって医師が遺族から訴えられるリスクもある。 そんなときに年齢などがトリアージの基準になっていたり、患者がカードによって“若者に医療を譲る”ことを明確に意思表示していれば、そのようなリスクを避けることもできる。 そういった意味でも現役医師(石蔵氏)が提唱したこのカードは意義のあることだと思います」 未知のウイルスは、私たちに「生き方と死に方」の責任と覚悟を問うているのかもしれない。※週刊ポスト2020年5月22・29日号
2020.05.20 16:00
週刊ポスト
「若者に譲る」という決断ができるか(Avalon/時事)
集中医療を譲る意志カードの難題 同調圧力生まれる懸念も
 大阪大学人間科学研究科未来共創センター招聘教授で現役医師(循環器科専門医)の石蔵文信氏(64)が高齢者向けに作成した「集中治療を譲る意志カード(譲〈ゆずる〉カード)」が話題を呼んでいる。表面には次のように記されている。〈新型コロナウイルス感染症で人工呼吸器や人工肺などの高度治療を受けている時に機器が不足した場合には、私は若い人に高度医療を譲ります〉「譲カード」には医療現場の負担を軽減する狙いがあるが、経済評論家の宮本勝浩氏(75)は、「命は年齢に関係なく大切なので、難しい問題」と答える。「自宅がクラスター化して家内や子供、孫まで家庭内感染して病院に運び込まれた時に医療機器が足りなかったら家族を優先してほしいけど、見ず知らずの若者に譲る覚悟はありません」 宮本氏の弟は脳梗塞で倒れ、寝たきりで5年間過ごした。本人が「延命措置は不要」との意思を示していたため、実際に胃瘻手術をせず旅立った。「弟は生前に自分の意思で書面に書き残していましたが、あくまで『回復の見込みがなくなれば』ということでした。新型コロナは助かる見込みがある。若い人に長生きしてほしいとの気持ちはわかりますが、年寄りに“命を譲れ”という同調圧力が出てくるのはどうなのか」(宮本氏) 高齢者にとって、どのように自らの死を迎えるかは遠い問題ではない。 一般に、耐え難い苦しみに襲われている患者や助かる見込みのない末期の患者が、医師の力を借りて自らの意思で死を選ぶことを「安楽死」、患者の意思で積極的な延命治療を行なわないことを「尊厳死」と呼ぶ。政治評論家の小林吉弥氏(78)はこう指摘する。「日本では安楽死が認められない一方で尊厳死の法律がなく、医療現場では事前に患者本人が希望してもそう簡単に人工呼吸器を外せないのが現状です。『譲カード』が提起するのは、自らの意思で死を選ぶ尊厳死をどう考えるかという問題です。私は譲る、私はダメという個人レベルの問題ではなく、社会全体が考えるべき課題です」※週刊ポスト2020年5月22・29日号
2020.05.17 07:00
週刊ポスト
延命治療は一切不要… 著名人たちが語る「理想の死に方」
延命治療は一切不要… 著名人たちが語る「理想の死に方」
 写真家・渡辺達生氏が、晩年にこれまでの人生を祝う意味を込め、葬儀で使用する「遺影」を「寿影」と置き換えて始まったプロジェクト。2018年2月から50回にわたって続いた『週刊ポスト』のグラビア連載「寿影」では、各界の有名人が、思い出の品とともにカメラを前で「理想の死に方」を語ってくれた。その中には、死を肯定的に受け入れ、尊厳死に賛成し、延命治療は受けないと決めている人もいた。 生来の憑依体質を修験道で克服し、神職の資格も得てスピリチュアリストとして活躍する江原啓之氏(54)は死をこう捉えている。「いつも死ぬことは考えていますが、いくつまで生きても人生は瞬き同然。昔のことは昨日のようでしょう。1つのことを果たすだけでも大変で、やりたいこともたくさんあるのに、1回の人生では短かすぎると最近よく思います」 持論は、“人は死して死なず”。死は終わりではないため、死なないための頑張りはしないと語り、医師に助かる見込みがないと言われても、延命治療は一切しないと決めている。「会いたい人と会い、したいことをして悔いのないようにこの世を生き抜きたい。尊厳死は大賛成です」 そして江原氏は、エンディングノートを書くことをすすめる。「全国で多くの人が親の死に対して『あれでよかったのか?』と悩んでいます。最期を自分で決めることは、残される者への愛情です。絶対に書くべきだと思います」 同じく延命治療はしないと語るのは、ニューハーフタレントのカルーセル麻紀氏(76)。座右の銘が“人生成り行き任せ”の通り、逝き方も自然が理想とし、同居する80歳過ぎの姉とは、意識がなくなったら延命措置は受けないと互いに約束している。「私の好きな織田信長が謡った、『人生五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。ひとたび生を得て滅ぼせぬもののあるべきか』じゃないけれど、人の一生は所詮50年だと思っていたのが、今はその2倍生きる世の中になっている。だからといっていつ死んでもいいとは思わないけれど、今はめまぐるしく変わる世の中を楽しみながら長生きするのも悪くないなと思っています」 最期は、姉とマネージャーに自宅のベッドで静かに看取られるのを望み、葬式は僧侶を呼ばずに戒名もなし。代わりにホテルでシャンパンをバンバン開けて、賑やかなお祭り騒ぎをして送ってもらうことを友人、知人に頼んでいる。●取材・文/下川良子(スペース・リーブ)■渡辺達生作品展『寿影』・10月4日(金)~17日(木)11時~19時・ソニーイメージングギャラリー銀座:東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階※週刊ポスト2019年10月18・25日号
2019.10.15 16:00
週刊ポスト
プライシック医師に取材する宮下氏
安楽死が安易に認められること、緩和ケア医師が危惧
 NHKスペシャル『彼女は安楽死を選んだ』(6月2日放送)の反響は医療現場にも広がっている。番組は、スイスで安楽死を遂げた初の日本人女性・小島ミナさん(当時50歳)に密着し、最期の瞬間まで映した衝撃の内容だった。NHKには放送翌日までに300件もの感想が視聴者から寄せられたという。 川崎市で緩和ケア医をしている西智弘医師は、「安楽死の問題がテレビで取り上げられたことは意義深い」とした上でこう指摘する。「番組の中では、尊厳死と積極的安楽死を解説していましたが、まだまだ日本ではその違いが知られていません。 末期がんの患者であれば、がんによる痛みを緩和し、尊厳死の一環として最期を迎えるときには鎮静剤を投与して意識水準を下げ、終末期の苦痛を和らげる『セデーション』を施すこともあります。安楽死でなければならないケースは希で、安易に認めれば、緩和ケアの技術の発展が止まってしまうことを危惧します。 番組では、同じ多系統萎縮症の女性が登場し、ご本人が人工呼吸器をつける選択をしたことに、娘さんが『(母親の)姿があるかないかは、私の中ですごくでっかい』『家族としてはありがとうだよね』と喜んでいた。家族を含めた支援者とともに生きるという選択肢もあるのではないでしょうか」 小島さんの存在が、日本人の死生観に大きな影響を与えたことは間違いない。※週刊ポスト2019年6月21日号
2019.06.12 16:00
週刊ポスト
諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師
「人工透析を受けない選択肢」と「命の終い方」を考える
 医療が発達し、治療法が普及するにつれ、人は簡単に死ねなくなっている。だが、いつか死ぬのが人間だ。人工透析治療を止める選択肢を提示された女性患者が死亡した問題をきっかけに、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、命の終い方について考えた。 * * * 東京都福生市にある公立福生病院で、人工透析治療を止める選択肢を提示された女性患者(当時44歳)が死亡した問題が波紋を呼んでいる。医療を受ける患者の権利が奪われているとか、医師による死への誘導ではないかと報じられた。 しかも、亡くなった女性が、直前に透析中止の意思をひるがえしたと報じられ、なぜ中止が中止されなかったのか、病院の対応に批判が上がっている。 ぼくがこの問題で、まず考えたのは、「透析治療を受けない権利」ということだ。40年以上、内科医として多くの辛い疾患と接してきたが、患者さんのなかには積極的治療を拒否する人がいた。 たとえば、進行すると自力で呼吸できなくなる難病がある。人工呼吸器をつけることを選択する人が多いが、全員ではない。一生懸命生きるが、その時が来たら人工呼吸器はつけず、死を選択するという人も少数いる。どっちが正解かという問題ではない。医療というより、個人の価値観の問題なのだ。 がんの患者さんでも、手術をすれば寿命が延びる可能性があるのに、手術を拒否する人がいる。信仰上の問題で、死んでも輸血を拒否する人もいる。 今回の福生病院では、透析治療が必要な患者さんに対し、透析をしなければ命にかかわると説明したうえで、同時に透析を行なわない選択肢も示した。2013年4月~2017年3月までで149人に説明し、17人が透析治療を始めないことを決めたという。すでに透析治療を受けている人も治療を中止し、この女性を含めた4人が死亡した。 透析患者は全国で33万4500人を超える。平均年齢は68.4歳。80歳以上の高齢者も多い。 流れのなかで何となく透析治療を受けるのではなく、患者さんに選択してもらうこと自体は、評価していいと、ぼくは思う。医療は、何よりも患者の意思が尊重されるようになってきたからだ。だから、福生病院への批判の半分には、異議を述べたい。 しかし、患者の意思をどのように確認し、尊重していくのか、という課題は大きい。問題点は3つある。【1】正しいインフォームドコンセントが行なわれたか。 人工透析は、血液を体外の透析器に送り出し、血液を浄化してから再び体内に戻す。そのため手術で腕に「シャント」という出入口をつくる。 女性は、シャントがつぶれ、透析機器につなげる血管を探すのが大変になっていたようだ。腕のシャント以外に、腹膜透析ならシャントがなくても血液をきれいにできる方法があることを、きちんと説明したか。どうも、その説明はなかったようである。【2】正常な判断力で自己決定がされたか。 この女性は、シャントが使えなくなったら透析を止めたいといい、透析中止を決めた意思確認書に署名している。夫も呼んで、再度確認もしている。 一見、問題なさそうだが、女性はかつて「抑うつ性神経症」と診断され、自殺未遂も3回あったという。今回も、治療の苦しさからうつ状態になっていた可能性も否定できない。精神科の適切な治療を受けていれば、透析治療を続けながら、人生の楽しみを見つけることもできたかもしれない。【3】第三者のチェック機能は働いたのか。 透析治療の中止の際、きちんとインフォームドコンセントが行なわれたか、患者が正常な判断力で意思決定をしたか、外部の識者も入った倫理委員会など、第三者の目でチェックする必要がある。 意識のない患者の人工呼吸器をオフにし、裁判になっている事例はいくつもあるが、多くの場合、一人の医師の独断で行なわれている。その医師がどんなにその患者の尊厳を考えたとしても、独善になってしまうことは否めない。 福生病院では、外科医も、腎臓内科医も、院長も、複数の医師たちがほぼ同じ考えをもっているようである。一人の医師の独断ではないが、第三者の目で再確認することがあれば、違う選択をした患者もいたかもしれない。 実は、このような事例は初めてではない。市立秋田総合病院は、本人の意思で透析を中止した54歳の男性患者とのかかわりを「延命拒否により血液透析を自己中止した1症例の検討」という論文にまとめ、公表している。こういうオープンな精神が大事。 そのなかで、患者や家族との話し合いを十分に行なうことが前提であり、実際に透析中止を決断しなければならない状況になった場合は、主治医一人で判断することなく、チームとしての判断や倫理委員会の承認が不可欠であるとしている。 アメリカをはじめ諸外国では、患者の自己決定を尊重し、事前指定書による尊厳死が法的に認められている。医師はその決定を尊重しなければならないとガイドラインに示されている。日本でもこうした事前指定書が重要視されていくだろう。 だが、ここでも注意したいことがある。患者さんの意思は揺れ動くということだ。一度決断して、署名したのだからと、事前指定書を水戸黄門のご印籠のようにしてはいけない。揺れ動くことも自己決定の一つととらえ、柔軟に対応できる医療体制を整えなければ、本当に患者の意思を尊重することは難しい。 女性は、透析を中止した後、息が苦しくなり、「透析中止を撤回できるなら撤回したい」と申し出たという。夫は外科医に透析の再開を要望した。 外科医は女性に対して、「するならしたいと言ってください」と言う一方、「逆に苦しいのが取れればいいの」とも聞いている。そして、苦しさを取るための鎮静剤が注入され、透析は再開されないまま女性は死亡した。ここはかなり問題だ。 不運だったのは、この女性を支えてきた夫が、同じ病院で胃潰瘍の緊急手術を受けており、女性の臨終に立ち会えなかったことだ。女性は夫へのLINEに「とうたすかかか」と打っている。「父さん助けて」と言いたかったのか。この点も、情報がきちんと共有されていれば、女性は夫を支えるために、一時的に透析の再開を強く求めたかもしれない。同じ病院で緊急手術をしているのだ。情報を無視せず、透析で命をつなぎ、落ち着いた状態で再度話し合いを持つべきであった。この病院の行動には優しさが感じられない。 命の終い方の決断は、簡単ではない。その人の自己決定には多角的な支えが必要だ。今回の事例は、治療を受けない選択肢や命の終い方を考えるきっかけをくれた。病院批判に終わらず、ここから議論をスタートできたらと思う。●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。※週刊ポスト2019年4月19日号
2019.04.09 16:00
週刊ポスト
後悔のない死に方をするためには?
日本尊厳死協会「リビング・ウイル」の作り方と効力
 東京・福生病院で腎臓病患者の女性(44)が人工透析中止を選び、意思確認書に署名した1週間後に死亡した。今年3月、そのことが報じられると、病院が〈死への誘導〉をしたと批判され、意思確認や手続きが適切だったのかが問題視された。 延命治療を続けるのか、やめるのかという判断は非常に難しい。厚労省の「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(平成29年度)によると、末期がん治療での「経鼻栄養」は望むが9.8%、望まないが64.0%、「胃ろう」は望むが6.0%、望まないが71.2%、「人工呼吸器」は望むが8.1%、望まないが65.2%と、望まない人の方が圧倒的に多い。 回復する見込みはもうない。それでも一日でも長く生きるために、苦しい治療を続けるか否か。 物議を呼んでいる「透析中止死亡」の問題が投げかけたのは、「延命治療をやめる」という選択の難しさだった。いつ、どのようにすれば、親や自分が後悔しない死に方を選ぶことができるのか。 我々は、延命治療を「断わる」ための手続きを知っておく必要がある。近年、医療現場で推奨されるのは、終末期の医療や介護の方針について、本人が家族や医師などと事前に話し合っておくことだ。 このプロセスは「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)と呼ばれる。厚労省はじめ、日本病院協会や日本医師会などは、ACPチェックシートに自分の意思を書き込むことを奨励している。重い病気にかかったり、意思表示ができなくなる前に取り掛かることが望ましい。 特に重要なのは、本人の意思を文書で残しておくことだ。遺品の始末や自分の望む葬儀、墓などを記すエンディングノートを作ろうとする人ならば、延命治療の希望について記す欄に意思表示をしておくことができる。 日本尊厳死協会は、「リビング・ウイル(終末期医療における事前指示書)」の作成を勧めている。 日本尊厳死協会に入会登録すると、リビング・ウイルが協会で保管され、会員証で意思表示ができる。ホームページには、「終末期の延命措置の拒否」「苦痛を和らげるための緩和医療の実施」「持続的植物状態での生命維持措置の取りやめ」の3項目の意思表示を柱としたリビング・ウイルの原本がある。「日本尊厳死協会の原本を参考に、個人で自分なりのものを作っても構いません。ただしリビング・ウイルはあくまで私的な文書で法的拘束力はなく、患者の提示を医師が無視しても違法ではありません。それでも協会の会員へのアンケートでは、リビング・ウイルを医療者に提示した患者の9割が実際に意思を尊重してもらえました」(日本尊厳死協会の江藤真佐子・事務局次長) より“公的”な意味合いを持つ文書として、「尊厳死宣言公正証書」を作成することもできる。「公証役場に行けば、文書のひな型が用意してあります。公正証書を作成したい人は事前にアポイントを入れたうえで免許証やパスポートなどの身分証明書を持って公証役場を訪れて申請します。費用は1万5000円程度です」(日本公証人連合会の西潟英策・事務局長) 作成された公正証書の原本は公証役場が保管し、コピーにあたる謄本を持ち帰ることができる。複数枚コピーして、家族と意思を共有しておくと安心だ。 こうした意思表示の「文書」を作成しておくと、病気が判明した段階から、医師に延命治療に対する意思を伝えることができる。※週刊ポスト2019年4月12日号
2019.04.05 07:00
週刊ポスト
「尊厳死宣言」は逮捕恐れる医師にとっても「救い」となり得る
「尊厳死宣言」は逮捕恐れる医師にとっても「救い」となり得る
 日本公証人連合会が、ある調査結果を発表した。今年1~7月に、公証役場で作成された『尊厳死宣言公正証書』(以下、尊厳死宣言)の数が、983件にのぼったという。 そもそも、公正証書とは、法務大臣に任命された公証人が作成する文書のことだ。金銭貸借を含む各種契約や、遺言などの内容を公証人が証明することにより、法的な紛争を未然に防ぐことを目的としている。 そこで作成される尊厳死宣言には一体どんな役割があるのか。優オフィスグループ代表で、行政書士の東優氏が解説する。「尊厳死宣言は、終末期に延命治療を望まない意思を、公証人の前で宣言する文書です。法的な拘束力はありませんが、家族や医療機関などに対して自分の意思を表明できるものです」 尊厳死宣言は、本人や家族はもちろん、医師の側から見ても大きな意味を持つ。日本尊厳死協会関東甲信越支部理事で杉浦医院院長の杉浦敏之氏がいう。「10年ほど前までは、尊厳死の意思表明があっても、治療を続けようとする医師が多かったように思います。 最近は尊厳死への理解も深まって、本人の意思が確認できるようなら、尊重しようという医師も増えていますが、延命治療をしないのは、“命を救う”という医師の本懐に反する行為です。治療を続けたい気持ちが強い医師もいる。公正証書の存在は、そうした医師への説得材料にもなり得るのです」 医師が抱えるリスクへの配慮もある。「家族が延命治療を望んでいるのに、“本人がこう思っているんだから、おしまいにしましょう”とは言えません。あとになって家族から“治療をしてほしいと言っていたのに、無視された”と訴訟になってしまう可能性があります」(同前) 尊厳死宣言には医療従事者に対する免責事項が組み込まれることがほとんどだ。家族などからの民事責任(損害賠償請求)に加え、犯罪捜査や刑事訴追の対象とはせず、責任を問わないでほしい旨の記載がされる。 過去には、実際に医師が刑事責任を問われたケースもある。1998年11月、神奈川の川崎協同病院で呼吸器内科部長だった女性医師は、気管支喘息の重積発作で極度の呼吸困難状態にあった患者から、気道確保のための気管内チューブを外した。患者が上体をのけぞらせて苦しみだしたため、鎮痛剤と筋弛緩剤を投与したところ、患者は息を引き取った。 殺人罪に問われたこの医師は2007年2月に、高裁で懲役1年6か月、執行猶予3年の判決を受け、2009年12月に最高裁が上告を棄却したことで、刑が確定した。 2006年には、富山県の射水市民病院で入院患者の人工呼吸器が取り外され、50~90歳の7人が死亡していたことが明らかになった。取り外しを行なったとされたのは外科部長だった。「医師は家族や本人との合意のもとで止めたと主張。しかし警察は殺人として捜査を進めた。結局不起訴となったが、長い時間がかかった。その間、医師は“殺人容疑者”です」(山王メディカルセンターの医師・鈴木裕也氏) 尊厳死宣言が広がれば、そうした現実が少しずつ変わるかもしれない。日本公証人連合会の向井壯氏がいう。「仮に裁判となっても、公正証書があれば裁判所の判断材料において強い証明力を持ちますから、本人の意思があった、という点については認められると考えられる」 尊厳死宣言の記載は、罪に問われることを恐れる医師にとっても“救い”となり得る。一方で、やはり法的拘束力はないため、医師が患者の希望に沿えるよう、その免責を法的に位置づけるべきという意見もある。◆気が変わってもいい『安楽死を遂げるまで』(小学館刊)の著書があるジャーナリストの宮下洋一氏は、尊厳死宣言に一定の評価を与える。「日本人は自分の明確な意思を示しづらい国民性を持っていると感じています。『私文書』での意思表明は、自分の考えよりも、“そろそろ自分は死んだ方が子供たちのためにも良いんじゃないか”といった気遣いや、“介護や医療費が嵩んでいるな”という思いが優先されがちです。 だから、迷いがあってもサインしてしまうことがあるんです。そういった点では、公証人という第三者が意思を確認する尊厳死宣言は、従来の事前指示書よりは正当性があると言えるかもしれません。 ただ、一度決めたとしても人間の意思は変化する。体調が悪くなると書面にしておいた方がいいと思うかもしれないけど、気分が良い時はまだ生きられると思ったりもするでしょう。死の寸前で変わることもある。前もって準備することは大切ですが、気持ちの変化を日々再確認しておくことも肝要でしょう」 逝き方を考えることは、自分の人生に最後まで責任をもつということでもある。医療の進歩で簡単には死ねなくなった時代だからこそ、「尊厳死宣言」の文面を見ながら、一人ひとりが考えることの意味は大きい。※週刊ポスト2018年11月2日号
2018.10.26 07:00
週刊ポスト
「尊厳死宣言」の作成 どんな準備と手続きが必要なのか
「尊厳死宣言」の作成 どんな準備と手続きが必要なのか
 日本公証人連合会が、ある調査結果を発表した。2018年1~7月に、公証役場で作成された『尊厳死宣言公正証書』(以下、尊厳死宣言)の数が、983件にのぼったという。 そもそも、公正証書とは、法務大臣に任命された公証人が作成する文書のことだ。金銭貸借を含む各種契約や、遺言などの内容を公証人が証明することにより、法的な紛争を未然に防ぐことを目的としている。 そこで作成される尊厳死宣言には一体どんな役割があるのか。優オフィスグループ代表で、行政書士の東優氏が解説する。「尊厳死宣言は、終末期に延命治療を望まない意思を、公証人の前で宣言する文書です。法的な拘束力はありませんが、家族や医療機関などに対して自分の意思を表明できるものです」◆手数料は1万1000円 では、尊厳死宣言を作成するには、どんな準備と手続きが必要なのか。日本公証人連合会の向井壯氏が解説する。「運転免許証やパスポート、マイナンバーカードといった顔写真つきの本人確認書類と、認印が必要になります。あるいは、実印と印鑑証明書のセットでも作成が可能です」 書類作成の手数料は1万1000円。これに、作成する謄本の枚数などによってプラス数千円かかる。病気のため自宅や病院を離れられないという場合には、公証人が出張することもあるという。その場合、日当と交通費が別途かかる。弁護士などと相談し、あらかじめ文案を作成する場合には、弁護士費用も必要だ。「すでに文案がある場合には、内容確認の翌日にできあがることもあります。ご本人と直接やり取りする場合には、公証役場に来ていただくか、難しければ電話やメール、ファクスで内容を詰めていきます。とはいえ、ほとんどの場合、基本的な内容は同じです」(同前) 別載した尊厳死宣言の文例にあるように、事前に内容について家族の了承を得たと記載する場合もあるが、作成時に立ち会う必要はないという。 比較的簡易な手続きで作成が可能な尊厳死宣言は、「公証人が直接見聞きした内容を公正証書にする」という「事実実験公正証書」にあたる。この場合の見聞きした内容とは、“本人の意思”と“判断能力”だ。「本当に本人が尊厳死を望んでいるか、ということはしっかりと確認します。同時に、尊厳死というものの意味を理解できているかという判断能力も見ます。 エンディングノートなどの私文書だと、本当に判断能力があったのか、そもそも本人が書いたのかといった点で信頼性に疑問符がつくケースがある。医師が本人に確認しようにも、死期が近く意思表示できない状態だったら、確かめようもない。 その点、尊厳死宣言は間違いなく本人が望んだと公証人が証明するわけですから、一定の信頼がおける」(同前)◆細かく指定しないのが望ましい 尊厳死をどう捉えているかを、事前に頭の中で整理しておく必要がある。「申告マニュアル」は、専門家の協力を得ながら、尊厳死宣言を作成するにあたって、考えておくべきポイントをまとめたものだ。家族や親しい人と話し合いながら記入すれば、自分の考えをまとめ直す機会になると同時に、周囲に意思表示することにもなる。 申告マニュアルには、必要ないと考える延命治療の内容を記入できる欄を設けた。これはあくまで「胃ろう」や「経鼻チューブ」「人工呼吸」といった具体的な延命治療の内容を知ることで、宣言する上での理解を深めることが主たる目的で、実際の尊厳死宣言では細かく指定しないほうが望ましいという。「望まない治療の内容を細分化して書き込んでしまうと、“書いていない治療はやっていいのか”という話になってくる。医学が進歩して新しい種類の延命治療が生まれるかもしれない。したがって、治療方法を指定しないほうがいいと思います」(前出・向井氏) 作成された尊厳死宣言の原本は公証役場が保管する。コピーにあたる謄本を自分の手元に置いたり、家族に渡したりすることで意思の共有を図る。 ちなみに、後になって気が変わり、一度作成した尊厳死宣言の内容を破棄したい場合、役場での手続き等は必ずしも必要ではないという。前出・向井氏はこういう。「自分が持っている謄本を破棄し、その内容を伝えていた人に“あの話はなかったことにしてくれ”と伝えるのも一つの方法。保管している原本を破棄するという手続きはない。公証役場で、『前に作成した尊厳死宣言を撤回する』という証書を新たに作る方法はあるが、私は一度もそうした依頼を受けたことはありません」※週刊ポスト2018年11月2日号
2018.10.25 11:00
週刊ポスト

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