◆地元からもまさかの異論反論が

“炎上”していたのは、そんな日本最北の地、北海道の真冬の交通事情がわからない他の地域だけではない。実はこの事情を知る地元・北海道の人たちこそ、「考えが甘い」と顔をしかめる。滝川市のある受験生もその1人。

「そもそも、50kmも離れたところにあるのに、当日受験会場に行くっていうのがちょっと甘いというか…。私はちゃんと岩見沢のホテルに泊まりましたよ。確かに宿泊費が高いとは思うけれど、当日トラブルに巻き込まれて平常心で試験を受けられずいい結果を出せない方が嫌」

 とはいえ、50kmといえば、東京から横浜の少し先までの距離。もし、横浜の高校生が東京の大学を受けるとしても、前泊することはまずない。

「毎年受験の時は電車が遅れたり運休したりっていうニュースが流れるのに、なんで最悪の場合を想定しないんだろう。受験生の落ち度でもあると思います」(別の受験生)

 なんとも手厳しい意見だが、滝川市の大手予備校講師も、「うちでは必ず前泊するように指導しています」と言う。

「電車が遅れやすく、天候も変わりやすい中、リスクを排除することを徹底していますし、塾の中では前泊することが当たり前の雰囲気があります。さらに、岩見沢は観光地ではないため、宿も少ない。夏期講習が始まる頃には、保護者会などで“センター試験のホテルを予約してください”とアナウンスしています。そうした上で、国立大学の受験も、センター試験の結果で左右されるから、いくつもホテルを押さえている親御さんも多いです。だから、東京や札幌など交通機関が充実している地域にいる受験生と比べると、大学受験にかかる費用は3~5倍でしょう」

 センター試験は3科目以上ならば1万8000円、それ以下でも1万2000円。そこからさらに、1校受験するごとに私立なら3万5000円の受験料がかかる。北海道在住で、高校1年生の息子を持つ母は深いため息をつく。

「そこにさらに『前のり』のホテル代もプラスすることが半ば常識のようにいわれてますが、東京や大阪にいる友人に話すとびっくりされます。母としては、ただでさえ緊張する試験当日、ホテルからじゃなくていつもと同じ布団で寝て、栄養たっぷりの朝ご飯を食べさせて送り出してあげたいと思ってるんですが、やっぱり、考えが甘いですかね?」

※女性セブン2017年2月23日号

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