あまり指摘されていないことだが、打者・大谷の不在も大きい。
「昨年秋の侍ジャパン強化試合で分かったことは、大谷以外の選手はみな一様にWBC使用球に悪戦苦闘していたということなんです。日本のプロ野球公式球はバットの芯を外しても飛ぶんですが、WBC球はそうはいかない。それを大谷は苦にせず、衝撃的な東京ドームの天井直撃弾(記録は二塁打)などで世界の度肝を抜きました。
大谷の二刀流を存分に活かすため、小久保監督ではなく、日本ハムの栗山英樹・監督(55)に指揮を執ってもらうべきだという意見まで出たくらいです」(NPB関係者)
そうした証言からは、小久保監督への“不信”も浮き彫りになる。日本ハム側が欠場の判断をするギリギリまで代表チーム側と情報共有していなかったことも、小久保ジャパンの求心力のなさを示しているといえよう。
「一昨年のプレミア12の準決勝で韓国相手に屈辱の逆転負けを喫したゲームに象徴される統率力のなさがチームの最大の不安要素です。あの試合も、則本昴大(26、楽天)を中継ぎに使い、調子の上がらなかった松井裕樹(21、楽天)の抑えにこだわった末の大量失点でした。これ以降、監督経験がなかった小久保監督の采配が疑問視され続けている」(NPB担当記者)
このような背景があったからこそ、“大谷で勝負するなら、勝っても負けても誰も文句はいわないだろう”という志向でのチームづくりが進み、欠場による今の窮地が生まれているのではないか。
※週刊ポスト2017年2月24日号