中国側関係筋によると、4月6、7日の米中首脳会談では習近平国家主席がトランプ大統領に対し、AIIB出資や5月に北京で開催予定の「一帯一路サミット」への米政府高官参加を求めたという。
「一帯一路」は2013年に習近平氏が打ち出した、中華経済圏構想である。ユーラシア大陸の内陸部と周辺海域のインフラを整備し、すべてのルートを北京につなげる。必要資金を調達、投融資するための役割をもつのがAIIBであり、ほかにも「シルクロード基金」「BRICS銀行」が中国主導で創設済みだが、いずれもAIIB同様、プロジェクトは欲しいがカネは出したくない参加国だらけだ。
AIIBはADBや世界銀行など既存の国際金融機関と同様、ドル建て融資が主流の国際金融市場が相手だが、資金調達できない。AIIBには基軸通貨ドルの米国と世界最大の金融債権国日本が不参加のために、米欧の格付け機関がAIIB債の格付けを拒否しているからだ。
ならば、中国は自らの外貨準備(外準)を充当するしかないが、昨年、中国からの資金流出は年間で7000億ドルを超え、外準は3兆ドルまで減った。外準は4.6兆ドルもの外国企業や金融機関の対中債権(中国にとっては対外負債)の大半が含まれるので、ないのも同然だ。