もともと秀岳館の監督就任に際しては、自身が率いた大阪の中学硬式野球「枚方ボーイズ」の選手を熊本に総動員。就任からわずか2年で甲子園に出場した。しかし、3季連続ベスト4の実績がありながら、地元で支持は広がっていない。
川上哲治を生んだ熊本は高校野球が盛んな土地だ。だが、県外出身者で占められた秀岳館に対する風当たりは強く、熊本工業など地元で人気の高校と対戦すれば、「大阪へ帰れ!」などの野次が飛ぶと監督自身が明かしたこともある。さらに今年のセンバツ前には、自身の解任騒動まで起きた。
NHKの甲子園解説を務めていた頃、明瞭な語り口で人気のあった鍛治舎監督は、早実との試合後、「夏に(甲子園で)対戦するかもしれないので……」と、投手に経験を積ませるための策だと説明した。だが、高校野球ファンの顰蹙を買うだけだった。
●取材・構成/柳川悠二(ノンフィクションライター)
※週刊ポスト2017年6月2日号