周りの力士にとっては、手負いの横綱は逆の意味で“宝”になる。稀勢の里戦に集中する懸賞金や金星による褒賞金アップを狙うガチンコ力士が幕内に多数ひしめいているのだ。
責任感の強い稀勢の里は10日、地元・牛久での激励会でも「来場所は15日間の取組を全うし、いい報告がしたい」と意気込みを語ったが、田子ノ浦部屋の後援会関係者の表情は暗い。
「稀勢はぶつかり稽古を再開しているが、相手は高安ではなく序二段の力士。これまでは親方も本人の意思を最優先していたが、今回ばかりは慎重だ。来場所は新大関・高安が看板になるので、稀勢がいなくても大丈夫という判断になるのではないか」
主役不在の7月場所となるのか。最後までもつれる展開となりそうだ。
※週刊ポスト2017年6月30日号