◆スキージャンプ式
すでに中国は初の空母となる『遼寧』を2012年に就役させている。現在、建造中の国産空母は習近平が国策に掲げる「海洋強国」建設に向け、機動力を確保する点から重要なオプションと見られている。2020年頃の就役を目指しているが、詳細な情報は公表されていなかった。
判明しているのは、排水量約5万トン(『遼寧』は約6万7000トン)。最高速度は遼寧より10ノット速い31ノットとされる。最大の特徴は船首部に傾斜がついたスキージャンプ式の甲板である。
実はこの甲板に怒りの導火線が隠されていたのだ。中国問題に精通するジャーナリスト・富坂聰氏の解説だ。
「建造中の国産空母は甲板で高圧蒸気やリニアモーターなどにより艦載機を発進させるカタパルト(射出機)を備えておらず、そのためスキージャンプ式にして艦載機を離陸させる設計になっています。カタパルトは現代空母の最新装備といえるもので、米国やフランスなどの海軍が装備しています。つまり、中国が今作ろうとしているのは、米空母と比べるとはるかに見劣りのする旧式型なのです」
中国の過敏ともいえる反応は、最新の軍事技術が漏れるのを恐れたというより、「時代遅れのハリボテ」である事実を、日本メディアにいち早く公にされたことに対する怒りだったようだ。ただし中国側の剣幕に外務省は大慌てだったという。