「派手な立て看板を路上に広げ、キャッチを使って客引きをする。老華僑中心の組合ではこうした行為の自粛を取り決めているが、組合に加盟していない新華僑の店はお構いなし」

 入店した客からは「食べ放題と言われたが飲み物で高額な請求をされた」、「メニューの写真とぜんぜん違うものが出てきた」などの苦情があるという。

 実際に記者が中華街を歩くと、福建省出身というキャッチの女性に「お兄さん、うちはテレビでも有名!」と片言の日本語で話しかけられた。だが、彼女が言う有名店は“満席”で、裏通りの「別館」に案内された。

 店名からしてまったく違うこの店は「本格中華が1600円で食べ放題」がウリ。ところが、肉料理を中心になぜか「品切れ」ばかりで、「名物」と勧められた小籠包を注文すれば、茹でたての水餃子が出てくる始末。値段相応とはいえ、不満は残る……。中華街でキャッチを始めて3年目という福建省出身の男性に話を聞いた。

「確かに新華僑の商売の仕方は乱暴かもしれないが、食べ放題や立食形式など、新しい工夫をしている。老華僑のお店はランチで5000円もザラ。美味しいのかもしれないけど、高級すぎる。それに、先に来たから偉いってもんじゃないでしょ」

“2つの中国”の溝は簡単には埋まりそうにない。

※週刊ポスト2017年11月17日号

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