文大統領は、任期中に南北統一への道筋をつけたいと考えている。まずは、かつての左派政権時代のように文化的・経済的交流を拡大し、すでに南北で合意している第一段階としての「一国二制度による統一」を目指して南北共通市場を形成していくこれが文大統領の描くシナリオだ。「一国二制度による統一」は左派だけではなく、保守派も一致しての国家方針である。

 韓国の考えは、南北共通市場の形成や外国資本の参入によって、北朝鮮がそれなりに豊かになり、少なくとも人民が貧困に喘ぐことがなくなれば、統一に向けての韓国の負担は大きく軽減される、というものだ。実際、現在の北朝鮮は国内の「資本主義化」をかなり推し進めており、経済特区への外国資本の参加を公募している。

 こうした道が開かれるかどうかは、アメリカが「核放棄」の主張から退き、核を保有する北朝鮮の現体制を容認するかどうかにかかっている。文大統領は「核放棄」ではなく「核凍結」を求めている。核開発を一時的にストップすればそれでよいという姿勢だ。しかしこれはポーズにすぎない。文大統領がそう考えているように、現在の韓国社会は「ここまで北の核開発が進んだのであれば、もはや認めるしかない」という方向性を強くしている。他の諸国にもそうした声があるし、アメリカ国内ですらそう発言する要人も少なくない。

 さらに踏み込んで言えば、韓国も核を持ちたいのだ。韓国ギャラップの調査では、核保有に「賛成」は60%で、「反対」は35%だった。  そもそも韓国の歴代政権は1972年以降、極秘裏に核開発を続けてきた。しかし2004年にIAEA(国際原子力機関)の調査で、2000年に金大中政権下でウラン濃縮を進めていたことが発覚し、中止せざるを得なくなったのである。韓国にとって核武装は悲願なのだ。南北統一がなれば、「北の核は自分たち朝鮮民族のものになる」のである。

 韓米両国は「韓国が独自に戦時作戦統制権を行使できる条件が整えば、それを韓国に移譲すること」に合意している。朴槿恵政権下ではその時期を2020年としたが、文大統領は早期移譲を求めている。移譲となれば在韓米軍の撤退は時間の問題だ。アメリカでも在韓米軍撤退論者は少なくない。北朝鮮は米軍撤退を統一の第一条件としている。

関連記事

トピックス

森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン