「独身や共働きで働き続けていた同僚たちは、課長になっていたり、たとえ出世してなくても、キャリアを積んでいる。それに比べて私は、子供は1人いるけど、夫婦関係がうまくいっているとは言えない。
家庭と仕事を両立するのが、いまのデキる女性ですよね。2つできなくても、どちらか1つ充実していれば、自分を納得させられるかもしれないのですが、私の場合はどちらもないんです。最近、『女性が輝く社会』とか、『1億総活躍社会』ってよく言いますよね。この言葉を聞くたびに、本当に焦る。子供ももう中学生、夫婦関係も仕事も中途半端なまま年だけとっていくのはイヤだ、と思ったのです」
とはいえ、仕事の厳しさを痛感した美奈子さん。では、と、発想を転換し、家庭を変える方向へと舵を切った。
「先ほど話した結婚式で、独身の元同僚に教えてもらったんですよ。家でできる婚活サイトだったら私にも出会いがあるかもしれないなと。いい方と出会い、私でいいと言ってもらえたら、夫と別れる気持ちはあります。働く気もあります。既婚者なのに婚活サイトに登録している罪悪感はありますが……、出会いを求めている気持ちにウソはありません。そして、最低限のマナーとして、最初に会ったときに、既婚者であることは告白するようにしています」
◆41歳・リエ 恋愛をせずに人生を終わりたくない
2人目は41歳のリエさん。結婚して9年、子供はいない。京都弁が愛らしい、はんなりとした美女だ。婚活サイトに登録した理由は「もう一度恋がしたい、それにつきますね」と、おっとりした口調で、きっぱりと言った。
リエさんは、若い頃から自分は恋愛体質だったと振り返る。中学生で初めて彼氏ができて以来、付き合う人が途絶えたことはなかった。
「20代はほんまに楽しかった。私、商社の一般職をしていたんです。男の人に美味しいものをたくさん食べさせてもらったし、楽しい思いをたくさんさせていただきました。当時はそういう言葉はなかったけど、今でいうところの港区女子、みたいな感じやったんやないかなあ」
だがお嬢様育ちのリエさんには30歳を過ぎると親のプレッシャーが強くなり、32歳のとき、知人の紹介で知り合った現在の夫と結婚した。夫は16歳年上の医者。現在は57歳だ。
「生活はラクさせてもらってるんですけど……、トキメキはないですねえ。ちょっと年が離れすぎていたのかもしれません。たぶん、夫は、浮気をしてると思います。突き詰めるほどの執着はもうありませんが、40歳の誕生日を迎えたとき、このまま二度と恋愛せずに人生を終わるのかと思うと、ぞっとしたんです」