このようなケースは稀ではないと新潟大学名誉教授の岡田正彦医師は指摘する。
「実際に降圧剤だけで3~4種類服用する高齢者は珍しくない。必要量以上の降圧剤を服用して血圧を下げすぎると全身に血液が行きわたらず、目まいや腎機能の低下をもたらし、さらに認知症を悪化させるリスクも高まります」
ゆえに患者に処方する降圧剤は1~2種類で十分と岡田医師は指摘する。
「私は昔からあるサイアザイド系利尿薬を使用しています。それで効果がなかなか見られない時は、カルシウム拮抗薬を使用しますが、2種類で血圧は問題なくコントロールできます」
◆薬が新たな病気を起こす
血栓を抑えて血液をサラサラにする抗血栓薬は、複数種類の併用に注意が必要とされる。
「血栓症のリスクが高まり、複数の抗血栓薬を一時的に服用するケースはあります。適切な時期に病状が落ち着いたら1種類の服用に戻すのが原則です」(北品川藤クリニック院長の石原藤樹医師)
睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬も多剤併用になりやすいという。