「睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬の3種類をすべて服用するケースが多いので、すべての効果を兼ね備えた抗不安薬にまとめることも減薬につながります」(臼井医師)
高齢者が日頃から使用する機会の多い各種の痛み止め薬は、腎機能障害を引き起こすため、なるべく少ない種類にとどめたい。
「急性症状で痛み止め薬の種類が増えることがあるが、増えた薬は短期で使い切ることがポイントです」(石原医師)
多剤併用で副作用や想定外の症状が発生すると、医師が「新たな病気の発現」と勘違いして新たな薬を追加処方し、その服用がまた新たな副作用や症状悪化を招くことを「処方カスケード」と呼ぶ。これを避けるためにも「減薬」の実践が必要となる。
普段から使用している薬だからこそ、「処方カスケード」の危険性は当然高まってくる。「にしだわたる糖尿病内科」院長の西田亙医師はこう語る。
「ただし、患者が自己判断で減薬するのは危険なため、処方されている薬が多いと感じたら『この薬はどんな効果があって副作用は何ですか』と医師に尋ねてみてください。医師と相談しながら減薬を進めるのが最善です」
自身の状態をしっかりと伝えれば、脱「薬漬け生活」の一歩目を今日から踏み出せる。
※週刊ポスト2018年3月16日号