──「小学校の先生と高校野球の監督」という二刀流で一番の苦労は？
森林：小学生と高校生は全然違います。「何を許して、何を許さない」というところは違いますが、あまり苦労というのは感じません。小学生が目の前にいれば小学生モードになりますし、高校生が目の前にいれば高校生モードに切り替わるので大変というのも感じません。3年生の漢字テストの丸つけを終えてから、今日の練習メニューを考えたりとか。ちょっとハイブリッドの切り替えはある程度必要ですが、どんな仕事でも多分そうだと思うので大変というのはないです。
──電車で広尾から日吉に行く間、どうやってギアチェンジしますか？
森林：授業が2時に終わって、その後もドッチボールやドロケイなどの放課後遊びにも付き合うので結構体力を使います。子供たちが3時に下校した後に、日吉に向かうのでグラウンドに着くのが4時くらいです。電車では完全に監督モードです。この練習をやりたいとか、あの子を整体の先生に連れて行かなきゃいけないな、などの諸連絡をメールやラインで、大学生コーチとやりとりしています。
──3学年で100人を越える大所帯ですが、マネジメントする上での心得は？
森林監督：選手の素材は様々です。甲子園でもレギュラーで出るような子もいれば、そこまでの技量じゃない子もいるわけで、技術や体力の差はかなりひろいと思います。でも、それぞれの子に目標を与えて、活き活きと野球に取り組んで、チームとして一人一人が野球のレベルアップのために励むことで、それがチーム力になると信じ込ませてやるのが、私の仕事の一つと思っています。
──大学生コーチの存在は塾高の特徴ですか。
森林監督：組織的にやり始めたのは上田前監督の時ではないでしょうか。私も大学生コーチをやりましたが、毎年10人以上の大学生コーチ団ができて、それが毎年続いているのはうちの特徴の一つだと思います。また彼らがOB会のとりまとめの中心にもなってくれます。
練習メニューはノートに書いて、撮影して大学生コーチのグループ・ラインに送っています。いまは13人の大学生コーチがいて、早く来る子がホワイトボードに練習メニューを書いて、3時過ぎから練習が始まるようになっています。
──チーム分けの工夫は？
森林監督：上田前監督の時代から、メジャーとマイナーというグループ分けをしています。メジャーがノックをやったら、マイナーはティーをやって、交代しながら全員がある程度同じメニューをやるようにしています。個の練習も大事ですが、全体練習も大事。また、技術練習も大事ですが、体力的なものも、メンタルも大事。一つだけやればいいというのはないので、常にバランスを考えています。
──年間何試合くらい練習試合はやりますか？
森林監督：練習試合は100試合くらいはやります。新チームでいつも札幌に合宿で行くので、北海や札幌第一とやります。あとはだいたい関東を中心に、東は仙台育英とか、西は静岡高校くらいまでの範囲が多いです。
